「今はもうないけど佐世保市の図書館の前の橋の名が金子光晴橋だった。好...」地の群れ 真理さんの映画レビュー(感想・評価)
今はもうないけど佐世保市の図書館の前の橋の名が金子光晴橋だった。好...
今はもうないけど佐世保市の図書館の前の橋の名が金子光晴橋だった。好きな詩人の名だったので覚えていたのだけど佐世保の人だとは思ってなかった。
映画の当時もそうだけど、佐世保は戦後の日本の臭いがずっと残り続けていた。現在還暦の私が小四の頃まで被差別地区は通学路だった。特に差別はなくてその地区の子供とも普通に遊んでいた。親から止められたりとか全くなかった。
花街育ちだったので夕方5時には必ず家に帰った。夜は町の雰囲気がガラリと変わる。
全学連の抗争の話も聞いた。全学連崩れが四ヶ町の真ん中で顔を隠して自分らの正当性と正義を語るのを呆れてみていた。
この映画が伝えているものは話には聞いている。
多分子供だったから作者の語るこの映画の趣旨とは全く違うものを見ていたのだと思う。
清濁併せのむ防衛の町の現実がここにある。令和の今はもうほとんど少なくなったが、その影響は昭和の間までずっと残り続けていた。私の町は70年代まではまだ占領地だったところが多かったし地位協定下のトラブルもそこかしこで聞いている。
ただ、この戦後の臭いのきつい汚い映画でありながら私には、ノスタルジックに思えてしまう。この海岸線もこの山も今はもうない。
たまたま映画好きの友達に教えてもらった普通だったら手を出さないタイプの映画だったのだが、見ている現実が違うと見えるものが違うのだろうな。
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