痴人の愛(1967)

劇場公開日:

解説

谷崎潤一郎の同名原作を「ひき裂かれた盛装」の池田一朗が脚色し、「妻二人」の増村保造が監督した文芸もの。撮影は「にせ刑事」の小林節夫。

1967年製作/92分/日本
原題または英題:An Idiot in Love
配給:大映
劇場公開日:1967年7月29日

ストーリー

精油所の技師河合譲治は酒も煙草も麻雀もやらず、上役や同僚から無類の竪物と思われているが、実は秘かにナオミという女を飼育していた。ナオミはまだ少女の面影を残しているが、譲治は理想の女を作りあげようと奇妙な執念をナオミにそそぎ、そして、ナオミと結婚した。譲治はナオミに教養をつけさせようと、ピアノやイタリア語を習わせたが、ナオミは学生の浜田や熊谷らのボーイフレンドと遊びまわり、勉強はそっちのけだった。そのうえ、ナオミがボーイフレンドの誰彼の見境もなく身を任せているという噂がたった。譲治はナオミを問いつめた。がナオミは巧みにその鉾先をそらし、かえって豊かにみがきあげられたあでやかな肉体を誇示し、譲治はその魅力に屈服するありさまだった。それは、肉欲の前にひざまずく、あさましい人間の姿でもあったが、それだけに譲治はなんとしてもナオミを自分ひとりのものにしたいと思っていたのだった。ある日、彼女の行動になお、不安と疑惑を拭いきれない譲治は、隣家の花村医師にナオミの監視を依頼した。その結果、ナオミは浜田とも熊谷とも関係あることがわかった。口論の末ナオミは家を出た。譲治には、うつうつとして愉しまない日が続いたが、譲治はナオミに関する日記と写真を焼き、キッパリとナオミと縁を切ることを決心した。その後、ナオミについて、譲治はとかくのスキャンダルを耳にしたが、もはや心を動かされなかった。ある日、うらぶれたナオミが、衣類を取りに来たことを口実に帰って来た。譲治の決心は、ナオミを目の前にするとまたぐらつきはじめた。惜し気もなく肌をあらわにして着かえるナオミは、最後の別れに襟足を剃って、ついでに腋の下もと譲治に甘えた。いつしか譲治はあえぎはじめ、もう二度と行かないでくれ、お前の言うことはなんでもきく、馬にもなる、と狂おしくナオミに抱きついていくのだった。

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映画レビュー

1.5爆笑系ホラー映画というものを初めて見た。

2023年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

悲しい

怖い

譲治がやろうとしたことを、今やったら犯罪だよ。ストーカー・監禁・人身売買と紙一重。
 でも、こんな関係に陥りそうな男女は、今もストリートにあふれている。相手を縛り付けるために、DVとかポルノリベンジとかやられそう。
 原作は大正時代。映画は1960年代。でも、現代にもよくある話。

体の曲線美なんて、いつまでもつんだろう。でも、シャワーの水滴がその肌をころころと転がっていった80代のおばあさんを見たことがあるから、体のフォルムは変わっても、肌の美しさとかは、また別ものなんだろうか?
そのあたりのフェチはないのでよくわからないが。

古くは『源氏物語・紫の上』、外国では『マイフェアレディ』。
 理想のパートナーを育ててみたい願望はわからなくもない。ひそかに、ファッションセンスや食べ物の好み、言葉使いやふるまいをチェックし、希望を伝えてというのは、どのペアも今もお互いやっていること。
 でも、思い通りにはならないどころか…、というのがすごい。
 傾城美人とは彼女のような人をいうのか。
 できればアゲマンの賢妻を、妻をちゃんと性格も含めた”人間”として扱ってくれる夫を、パートナーにした方が、その生涯を通して幸せなんだろうけれど、ここまでのめりこめる相手に出会ったことは悲劇なのか喜劇なのか。
 計算づくなのに、計算できない悲劇。なおみも自己中なら、譲治も自己中。自己中だらけの中で、譲治の母だけが哀れ。子育て考えなきゃいけない。

鑑賞していて今一つ共感できない。演出過剰とひいてしまう箇所もところどころある。
 脚本も、演技も、演出も、徹底したおバカぶり・醜悪ぶりが展開される。突っ込みどころ満載、苦笑個所も満載。
 小沢さんの徹底したまじめバカぶりとか、譲治を心配する上司とか、譲治母の抑えた演技とか、正和さんのフレッシュさとか、役者が面白い。

根底に流れているのは悲劇であり、愛欲におぼれる怖さ。ただ搾り取られて破滅していくのを待つのみ。へたなホラー映画より怖い。
切なく撮ることもできたはずなのに、これだけ馬鹿笑いできるとは。この演出恐るべし。

(原作未読)

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とみいじょん

4.5谷崎+増村でつまらぬ訳がない

2019年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1967年増村保造監督作。谷崎潤一郎原作の三度目の映画化。

いやあスゴイ。増村監督の容赦ない演出に見事に応えた俳優陣。大楠道代の堂々たる脱ぎっぷり。そしてナオミに翻弄されまくる小沢昭一! 彼を見るだけでも大きな価値がある。ラストに至る狂気っぷりは並の役者にはできない。
あと若き田村正和も必見。

三人並び寝や馬乗りシーンなどキメショット多数。原作は未読なのでわからんのだが、60年代末という時代性にマッチさせたバージョンとして最高の仕上がりではないでしょうか。

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散歩男

2.0まるでアザラシのようなナオミ

2013年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

難しい

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shimo

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