探偵物語(1983)のレビュー・感想・評価
全36件中、21~36件目を表示
あの頃
目に留まりNetflixで鑑賞。
薬師丸さんが初々しい。
赤川次郎原作をちゃんと観たのは初めてかもしれない。思春期はどこもかしこも赤川次郎だったような気がする。角川映画全盛期の頃が懐かしい。
改めて観ると結構なファンタジー要素がてんこ盛りだったんだなあと。当時は物語を追うよりも薬師丸さんを追ってたようにも思う。
結構痛快な話ではあるが…女子大生が広域暴力団の事務所に単身乗り込んだりと、破天荒なエピソードも多い。時代なんだなぁと感慨深い。
とにもかくにも薬師丸さんだ。
いじらしい…胸がキュンキュンする。
もう頭の先から爪先まで、物語の徹頭徹尾可愛らしいのだ。また台詞にはない設定を暗に表現するかのような仕草が素晴らしい…。
それは松田優作さんもそうで、とにかく手がよく動く。棒立ちになる事がほぼない。
なんせそんな2人はどこからどお撮っても絵になる。
空港でのラストシーンはやっぱり良くて、ほっこりするのだけれど…キスするまでの空気感とか、ソワソワしてる薬師丸さんとか、一生懸命背伸びしてる薬師丸さんとか、そんな健気な薬師丸さんに荒々しいキスをする優作さんとか…またそれをしっかり受け止めてる薬師丸さんが…いいっ!
ま、それはいいとして、目を引いたのはその前夜だ。
ちゃぶ台の上と下。
結構な長回しもそおなんだけど、ちゃぶ台の下の攻防が目まぐるしい。
揺れる乙女心がいっぱい表現されてた。
楽しかった!
物語自体は端折られる部分もあって、深みは足りないようにも思うのだが当時の事を思えば十分な構成だったのではないだろうか。
役者陣も癖が強い。
中でも岸田今日子様…素敵でした。
毎回出てくる度に1笑い残してく…熟練の空気感と言えばいいのだろうか、最高だった。
セーラー服と機関銃がNetflixにアップされたら観てみよう。
純愛の骨頂を描いた映画
バブル到来間近の自由恋愛華やかかりし日本。愛欲に乱れた大人の世界と、未だこちら側にいる少女(?)の世界との対比が鮮やかに描かれた。
2つの世界の橋渡しをするのが「松田優作」というキャスティングが素晴らしい。
少女への眼差しが優しく、そして強さを感じさせるのは、かつてハードボイルドで鳴らした彼独特の持ち味故だろう。それはラスト、自分の2周りも3周りも小柄な少女の体に思いの丈をぶつけ、あれ程までに抱きしめた両腕にも表れている。
言葉にできないあまりの愛おしさ。この瞬間の直後は別離しかないという切なさ。そんなどうしようもうない男の感情を見事に表現したシーンだった。
一方で薬師丸ひろ子の演技力にも目をむいた。
お転婆娘の屈託のなさをありのままに演じているかと思えば、日本を発つ前夜、辻山のアパートで繰り広げた、告白につながる緊張感の絶頂。(無意識のうちに前のめりになって画面に見入ってしまった)
裏切りあり、殺人あり、笑いあり。
サスペンスとも言われ、ラブコメディとも言われる当作品だが、結局何をテーマにした映画だった?と問われれば、間違いなく「純愛」と答えることにしたい。
どんな時代、それに、辻山のような酸いも甘いも味わった人間にさえ、純愛は宿ることに希望を感じた作品だった。
ディープキスの後のエンドロールこそが見ものだと思います
所詮アイドル映画でしょ、というのは簡単です
終盤の結構な長回しは圧巻でした
薬師丸ひろ子は正直絶世の美人でもないし、スタイルが特段に良くもないし、肉感的でエロチックでもないです
小柄だけれども、折れそうなほど細いわけでもない
どこにでもいる健康的なお嬢さん
でもスレていない
芸能界の空気をまとっていない
それを透明感というのでしょうか
シーンによっては小学生高学年の子供のようにも見えます
それは得難い素材なのだと素直に思います
松田優作は家族ゲームでの怪演と同年の出演です
凡庸な演技で観るところのないもののようにも思えます
しかし、それが彼の目指した本作の演技方針だったかも知れません
過剰な演技はまるでなく、主張するのではなく淡々と自然に演じていく、それがどこまで自分にできるのか試しているのだと思います
エンドロールはヒロインとの成田空港での別れです
出発口へエスカレーターを彼女が降りていってから、延々とエスカレーターとロビーを広い画角で写し続けます
その画面右端に松田優作が小さく映ったままです
彼は演技するともなくただ佇んでいるだけです
その前の長いディープキスの余韻に浸っているのです
この演技とも言えないような名演技こそが本作における彼に取っても、観客にとっても最大の収穫であったのかもしれません
大ヒットした主題歌も大滝詠一、松本隆によるもので素晴らしい
発売は1983年4月、映画の公開は7月
ふた昔前の銀座の恋の物語などの歌謡映画の系譜に連なる作品なのかも知れません
83年かぁ
83年角川。薬師丸ひろ子主演。
角川が作ったアイドル映画なのだが、そこに納まりきらぬ魅力がある。同時上映は「時をかける少女」でこれは中々のコンテンツ。メディアミックスも絶好調で主題歌もヒット。プロデューサーとしての才は間違いなくあったなあ春樹サン。
して内容は、原作赤川次郎なので濃い内容があるわけもなく、彼女をどう魅力的に見せるかが全て。アク抜きしたような松田優作がお相手だが悪くない。優作主義者は「映画側にフィットする術も身に着けた」と評価した(に違いない)
80年代というダサさも時が経つと歴史的史観で見れるし。JDルックスのひろ子は貴重だ(ちょっと微笑ましい)
ラストシーン(とその前の長回し)のために全てあるともいえる物語でした。
80年代映画の黄金カルテット
BSで放映されていたのでかなり久しぶりに鑑賞。
角川映画制作・赤川次郎さん原作・鎌田敏夫さん脚本・薬師丸ひろ子さん主演と80年代邦画の黄金カルテット映画です。
今観るとそこまで面白いとは感じませんでしたが、それだけ現代の邦画のクオリティがあがっているということでしょうか。この映画ってサスペンス映画だったように記憶していましたが、実際はほぼ恋愛映画でしたね。
少女が女になる探偵ごっこ
DVD(デジタル・リマスター版)で3回目の鑑賞。
原作は既読です。
初鑑賞は深夜放送を録画したものでした。
その時原作は未読でしたが、赤川次郎の他の作品は読んでいたし、角川映画の存在を知って興味を持っていた時期でもあったので、観るのを大変楽しみにしていました。
ところが、両親と観ていたのですが、女優のヌードシーンや過激な濡れ場などが多く、まるでポルノ映画みたいに喘ぎ声がこれでもか流れて、気まずくって仕方無かったです(笑)。
それはさておき、今回改めて鑑賞しましたが、平凡なストーリーだし、これといった特徴の無い映画だなと思いました。裏を返せば王道と云うことかもしれませんが…
過激なシーンについては、アイドル女優を敢えてエロい場面に遭遇させようとした男の変態趣味なのかな、と…。その気持ちは分からないではない…気がする(笑)。
女子大生が探偵ごっこを通して大人の世界を覗き見し、恋する気持ちを知り、数々の修羅場を潜って、少女が女へ変わる様を演出しようと云う意図は理解出来ました。
松田優作のくたびれたおじさん探偵、いい味わいでした。テレビドラマの「探偵物語」(本作とは全く関連無し)の主人公と真反対な印象の役柄ですが、そこは名優、ヨレヨレのスーツの似合う中年男になりきり、キャラクターがきちんと別物になっているからすごいなと思いました。
ラストのキスシーンは問答無用の名場面!
身長差がなんとも言えない魅力なんだよなぁ…
[余談]
先日、テレビ朝日系の「日曜プライム」で本作のリメイク・ドラマを放送していましたが、やっぱりオリジナルには勝てないと感じました。ラストの改変が如何ともしがたい…
※修正(2023/02/05)
35年ぶりの見返し
当時中学生だった私は、ややオマセさんで子供同士で
映画館に行く癖がすでについていた。そしてこの作品も映画館で観た。薬師丸ひろ子さんと松田優作さんの共演はすごく魅力的でドキドキワクワクしながら阪神電車に乗り大阪梅田まで足を運び観た。先日テレビドラマで斎藤工さんと二階堂ふみさんの探偵物語を見たら、無性に見返したくなり久々に見ることにした。ツタヤさんにあるかどうか不安だったが取り寄せすることもなく陳列されてあったことにさえ、喜びを感じた。DVDを回し始めると直ぐに作品が始まった。私は映画が好きだ。好みの問題もあると思うが私の好きな作品は台詞がある映画、カメラが生きてる映画、音楽が音が胸に響いてくる映画、役者さんが生きてる映画である。監督・根岸吉太郎 脚本・鎌田敏夫 音楽・加藤和彦撮影・仙元誠三 編集・鈴木晄 本当に久しぶりに見直して思った。映画って素晴らしいなぁ〜若い中学生だった時の私はこの作品をどう見たのかは、覚えてない。現代ではアクションと呼べる感じではないかもしれないが、最初にアクションから始まる。ここが素晴らしい、どのカットカットも大好き。はじまるのだ、そこに役者さんの動きがあり役者さんの魂を感じる。
私はこの作品を見て感じれることが幸せだと思ってる。本当に素晴らしい作品。感謝です。ありがとうございます。
薬師丸がお嬢様で松田が不器用な探偵っていう役が合ってないし大人の世...
薬師丸がお嬢様で松田が不器用な探偵っていう役が合ってないし大人の世界に首を突っ込みたがる少女とそれをさせたくないオッサンの甘酸っぱいロマンスって意図も弱いんだけども、二人の存在感が素晴らしくて見てしまう。ラストの空港でのキスシーンとそのあとのエンドロールがやはり強く印象に残る。yawaraの最終回はここから引用してるんだね。
●薬師丸ひろ子。
そうだよね。TVシリーズとは違うよね。優作さんの映画ではなく、薬師丸ひろ子の映画だよね。「親にもぶたれたことないのに!」ってのは、ガンダムだよね。昭和の記憶が錯綜する。
ストーリーは、お嬢様が背伸びして、事件に巻き込まれて・・と可もなく不可もなく。しかし。薬師丸ひろ子が素晴らしい。全開だ。なんだろな。素人なのか演技なのかわからないリアルさ、思い切りのよさ。路線はまったく違うけど、原節子のギリギリ感に通ずるというか。
当時はまったく気付かなかったけどね。
When you are alone…
アイドル映画なんだけど、21世紀の今現在のアイドルと比べると、俳優としてのはじけっぷりの格差に驚きを禁じ得ない。大人の仲間として扱われていますよね。
薬師丸ひろ子ってこんなに魅力的な女の子だったのかぁ、と旧作の彼女と出会う度に思う。
赤川次郎が彼女のために本を書き下ろしたり、大瀧詠一が楽曲提供したり。勿論ビジネスなんだけど、ビジネスをこえた何かに惹かれていたんだろうなぁ、と感じる。
松田優作や蟹江敬三との絡みが、時を経て、朝ドラで受け継がれるという。面白いものですね。
アイドル的な人の映画は、生きのよさが命だと思った。
薬師丸さんがすごい。超可愛いし、演技うまいし、歌もうまい。
何よりもスターオーラがすごい。北斗の拳のラオウ並です。
他のベテランの女優さんの若い頃の映画見ると、皆、若くてきれいだけれど、薬師丸さんの場合は、異次元のレベル、パラレルワールドの住人です。今もきれいだけれど、別の人物みたいです。
アメリカの父の元に行くことになった、お嬢様女子大生の新井直美(薬師丸さん)は、あこがれの先輩、永井に海に誘われる。
ホテルに入った二人の部屋に、叔父と名のる探偵、辻山秀一(松田優作さん)が来て、先輩を家に帰してしまう。
辻山は直美をガードするために雇われていたのだ。
対立する二人。
直美は、先輩との関係を戻そうとするが不調、辻山に手伝ってもらううちに、二人の距離は近づいていく。
そんな中、辻山の元妻、幸子が殺人事件に巻き込まれる。
ヤクザの岡崎組の跡取りを殺したと疑われ、追われていると、辻山のところに逃げ込んでくる。
協力を申し出る直美、二人はヤクザに追われながら、真犯人を探すことになる。
赤川さんの原作だから、軽いサスペンスタッチの恋愛映画なのだけれど、結構エロいシーンも入っているし、残酷なシーンも入っている。
それでいて、「ローマの休日」的な雰囲気もあるし、いい感じになっている。
それ以上にいいのは、今はほとんどないけど、さえないオッサンとアイドル的な女性の恋愛映画になっていること。
今は少女漫画原作の、スーパーイケメンと、さえない少女の恋愛映画ばかりだけれど、こういう映画もあっていいというか、こっちの方が、個人的には好き。
それに売れっ子の女性アイドルは、スーパーイケメンとの恋愛映画、あるいはラブコメ映画は、ファンが黙っておらず、できないから実際には見ることができない。
それだったら、盛りを過ぎてから女優に転身して撮るのではなく、一番生きのいい時に、このパターンで、多少本格的なアイドル映画やってくれたら、面白いと思う。
AKBの渡辺麻友さんみたいな人の主演で、本作みたいな映画見たいと思うのは、私だけではないと思う。
今見ると逆に新鮮に見える
総合:65点
ストーリー: 55
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 75
あまり質が高いとはいえない物語展開だが、松田優作は相変わらずのぶっきらぼうな存在感を醸し出しているし薬師丸ひろ子は初々しく新鮮。その二人の登場人物の演技のかけあいが見所である。彼らが巻き込まれた殺人事件や犯人のことは置いといて、この二人の関係についての話は定石どおりのすごいベタベタな展開であり、だから見ていても素直に彼らの行動や心理がわかりやすいのもよい。
服装なども含めて時代を感じる映像なのだが、逆に今となってはそれすらも新鮮に見える。
全36件中、21~36件目を表示