大殺陣のレビュー・感想・評価
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集団時代劇の名作!古典だが斬新!
初鑑賞
昭和39年6月に公開された作品
世は安保闘争の時代
すでにカラーが主流になっていた時代にあえてモノクロ
工藤栄一監督の趣味だろう
ナレーターが良い
四代将軍家綱の時代
突然屋敷に転がり込んだ追われてるらしき友人を訳のわからぬまま匿った幕府の下級官吏神保平四郎(里見浩太朗)は友人共々追手に囚われ妻は斬り殺されてしまう
謎の一味に助けられ1人逃亡した神保は世を拗ね日々博打打ちの浪人浅利又之進(平幹二朗)に匿われる
妻の様子を見に自分の屋敷の近くを訪れた神保だが一味の1人山鹿みや(宗方奈美)の勧めで仲間の星野友之丞(大坂志郎)の家にお世話になることになった
幕府大老酒井忠清(大犮柳太朗)は時期将軍に甲府宰相徳川綱重(可知靖之)を据えるためあれこれと画策
軍学者山鹿素行(安部徹)率いる謎の一味は酒井の政敵幕府若年寄堀田正俊側の者たちで綱重暗殺のチャンスを狙っていた
綱重が水戸光圀の帰国を見送るために千住大橋に出向くことを知った素行一味は罠を仕掛け新吉原で襲撃開始
しかし多勢に無勢で暗殺計画は失敗に終わり神保含め一味は素行を除き全滅
神保の屍を見た浅利は折れた神保の刀を手に持ち決意を固める
九死に一生を得た綱重ではあったが見舞いに訪れた酒井共々高笑いで現場を立ち去る途中で浅利に斬り殺されてしまう
それを見た酒井は傀儡政権の夢が潰え発狂したのであった
大坂志郎が演じた星野友之丞が凄い
綱重暗殺に出向く際に妻(赤木春恵)と子供4人を斬り殺してしまうのである
暗殺者の家族の将来を憂いてのことだろうが驚きの展開
大坂志郎といえば『大岡越前』で忠相をワカと呼ぶ古株の同心ホトケの源さんを演じた名優
この作品でも当初はその優しい雰囲気そのままだったのにまさかまさか
この役に大坂志郎を抜擢したであろう工藤栄一監督凄い
クライマックスの田んぼでの決闘場面は臨場感を追求して重さ50キロのカメラを担いで前代未聞の撮影をしたという
だからこそあの映像なのだ
全裸監督こと村西とおるより工藤栄一がずっと早かった
行列になだれこむ格闘シーンには当時の安保闘争の音声を加工して混ぜ込んだという
破天荒な演出をする工藤栄一に脱帽
役者の芝居も良かった
里見浩太朗平幹二朗大犮柳太朗
狂気に満ちてる
世直しテロリストたちの捨て身の作戦
『十三人の刺客』に続く工藤栄一監督の「集団抗争時代劇」第二段。
NHK BSプレミアムの放送は『十三人の刺客』より一週先だったが、録画して公開時系列に鑑賞。
次作『十一人の侍』も放送してほしいが、それはないらしい。
前作同様に、池上金男の脚本と工藤栄一の演出はドライでリアルだ。
が、前作よりもドラマ性が高まってはいる。
主人公(だと思う)平四郎(里見浩太朗)は、理不尽に妻を斬殺されテロ計画に巻き込まれる。侍が作った世の中の元凶は「俺のように役職を大事がった侍、オヌシのように世をすねてなにもせぬ侍ども」だと遊び人風の武士又之進(平幹二朗)に言う。
テロリスト一党の首謀者の姪みや(宗方奈美)は、弱気になった仲間の男を体で慰めたり、仲間に引き入れたい別の男に犯されたり、大義のために女であることを犠牲にし、非業の最期を遂げる。
子だくさんの貧乏浪人(御家人か?)星野(大坂志郎)は、決戦前夜に子供達に贅沢な弁当を食べさせて、妻もろとも命を奪う。
みやと平四郎の一瞬のロマンス風な場面もある。
手持ちカメラの揺れが激しく、決して観やすいとは言えないものの、ローアングルは前作以上に徹底され、さらにパースペクティブを強調した構図を多用するなど、工藤映画芸術は冴えている。
クライマックスは田畑や小川、町中を舞台に町民を巻き込んだ大乱戦となる。
襲う側も恐怖心にかられ、攻防お互いに必死だ。
そして、予想だにしない結末を迎える。数ある時代劇の中でも斬新な決着のつけ方ではないだろうか。
それにしても、この平幹二朗は平岳大そっくりだ。(逆か…)
地味な時代劇
2020年8月16日
映画 #大殺陣 (1964年)鑑賞
60年安保の影響を受けて集団による革命とか集団闘争とかをリアルに描いた時代劇らしい
確かに戦いのシーンは壮大で、どこまでが台本どおりでどこからがアドリブかが分からないくらい自然な感じの戦いのシーンであった
最後のこのシーンだけでも見る勝ちあり
里見が主役なのか?しかし大した扱いではない。 企て決定から決行まで...
里見が主役なのか?しかし大した扱いではない。
企て決定から決行までが衝撃。そりゃあないぜ、大坂志郎。汚れ役みわが悲しい。おっと期待しちゃいけませんよ(笑)
クライマックスは迫力があるのやらないのやら。ただごちゃごちゃしてるようにも思える。切ない結末だ。
時代劇好きにはたまらん作品なんでしょうが、ちょっと古い。しかしモノクロ等、それがいいのかもしれない。
酒井忠清
加代(三島ゆり子)と幸せに暮らしていた書院番・神保平四郎(里見)は友人である中島外記(尾形伸之介)をかくまったことから謀反を企む一味と見なされ捕縛される。逃げ出した平四郎は偶然出会った旗本の浅利又之進(平)の屋敷にかくまわれ、加代の安否を確かめるべく出かけたところ、山鹿素行(安部徹)の姪みや(宗方奈美)が近づく。加代が斬り殺されたことを知り、復讐しようとする平四郎をみやは必死に止めにはいる。下っ端の目付を2、3斬ったところで何も解決しない。諸悪の根源を断ち切らねば、世の中は悪くなる一方だと・・・こうして平四郎は山鹿素行の一党に加わるのだった。
諸悪の根源は、綱重を将軍に据えて自らを摂政となり天下を我が物にしようとする酒井忠清(大友)なのだが、集めた仲間の人数では勝てぬ。そこで警護が手薄となっている甲府宰相の綱重を討つことに決定した。
徐々に平四郎に恋してゆくみやというヒロインは、女忍者のように体を張る。岡部を仲間に引き入れるため体を許すが、裏切られたため、平四郎に殺させたり、坊主となった日下仙之助(山本麟一)に犯されたり・・・決行前夜に日下に絞殺されるという可哀そうな女でもある。
暗殺決行。田舎道を通る大名行列の中に十数頭の裸馬を走らせ、混乱の中7人の刺客が斬り込んでゆく。死闘を続けるも、一党は殲滅されるが、その集団の大殺陣は凄まじい。この10数分の映像を魅せる映画なのだ。平四郎の死体を見た浅利は単身綱重に斬りかかり、綱重を討つが、家臣たちに斬り殺される。
酒井の気が触れたように「甲府公は死んではおらぬ」とあわてふためく姿が、一行の暗殺計画が成功したことを表している。しかし、虚しい。
同じく酒井忠清を描いた映画『江戸城大乱』
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