劇場公開日 1964年6月3日

「世直しテロリストたちの捨て身の作戦」大殺陣 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世直しテロリストたちの捨て身の作戦

2020年11月4日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

『十三人の刺客』に続く工藤栄一監督の「集団抗争時代劇」第二段。
NHK BSプレミアムの放送は『十三人の刺客』より一週先だったが、録画して公開時系列に鑑賞。
次作『十一人の侍』も放送してほしいが、それはないらしい。

前作同様に、池上金男の脚本と工藤栄一の演出はドライでリアルだ。
が、前作よりもドラマ性が高まってはいる。
主人公(だと思う)平四郎(里見浩太朗)は、理不尽に妻を斬殺されテロ計画に巻き込まれる。侍が作った世の中の元凶は「俺のように役職を大事がった侍、オヌシのように世をすねてなにもせぬ侍ども」だと遊び人風の武士又之進(平幹二朗)に言う。
テロリスト一党の首謀者の姪みや(宗方奈美)は、弱気になった仲間の男を体で慰めたり、仲間に引き入れたい別の男に犯されたり、大義のために女であることを犠牲にし、非業の最期を遂げる。
子だくさんの貧乏浪人(御家人か?)星野(大坂志郎)は、決戦前夜に子供達に贅沢な弁当を食べさせて、妻もろとも命を奪う。
みやと平四郎の一瞬のロマンス風な場面もある。

手持ちカメラの揺れが激しく、決して観やすいとは言えないものの、ローアングルは前作以上に徹底され、さらにパースペクティブを強調した構図を多用するなど、工藤映画芸術は冴えている。

クライマックスは田畑や小川、町中を舞台に町民を巻き込んだ大乱戦となる。
襲う側も恐怖心にかられ、攻防お互いに必死だ。
そして、予想だにしない結末を迎える。数ある時代劇の中でも斬新な決着のつけ方ではないだろうか。

それにしても、この平幹二朗は平岳大そっくりだ。(逆か…)

kazz