その男、凶暴につきのレビュー・感想・評価
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傑作中の傑作です! 30年が過ぎ去っても未だに革新さは失われてはいません
異常な緊張感が全編を支配しています
無駄が一切ありません
説明シーン、セリフ、演技
過剰なものが可能な限り削ぎ落とされています
それが緊張感を生み出していると思います
もともとは深作欣二の監督で製作を予定されていたとのこと
それを深作監督が受けなかった為に、話題性で急遽、主演のビートたけしが監督することになったといいます
もし深作欣二監督が本作を撮っていたとしたらどうなっていただろう
同じ脚本でも北野武監督と深作欣二監督では、全く違う映画になっていたでしょう
一言でいえば、昭和のままの刑事ものか、平成の時代の新しい刑事ものの映画の違いだと思います
それ程、北野武監督の映画は新しいのです
手垢にまみれていません
ピカピカに磨かれた真鍮のように光輝いています
新しい時代の映画になっています
主人公の我妻刑事と新米刑事がいく酒場なら、ガールズバーと居酒屋の違い
仁藤の店なら、波止場近くの洒落たレストランと料亭の違い
清弘の子分のチンピラが聴く音楽なら、レゲエと演歌の違いです
舞台は北品川、京浜新町
深作欣二監督監督なら同じ舞台であっても、仁藤のレストランはああならないでしょう
あの場所は波止場のバーで有名なスターダストのある辺りのようにみえます
昭和の感覚なら、新宿か五反田あたりになってしまっているとおもいます
新しい時代の映像感覚がそのような舞台設定だけでなく、音楽、撮影、衣装、セットに縦横に展開されています
正に革新であったと思います
撮影も美しい
照明の使い方、光と影の造る構図の絵画のような美しさ
とくに終盤の暗い倉庫内部での逆光、白い列柱に差し込む三角形の白い外光
ハッとする美しさです
お話は基本、ダーティーハリーの日本版です
ですがそれだけに終わっていないのです
基本、主人公は何時も静かに怒っています
表面的には何を考えているのかわからない無表情に見えますが、その心理的な仮面のガードの下に沸騰しかけの怒りが圧力をもって閉じ込められているのです
その怒りは、単なる悪への怒りとかの薄ペラいものではありません
官僚的な警察組織にでも、警察内部の腐敗でも、不良少年達でも、覚せい剤密売のヤクザ組織でもないのです
そんなことを総てひっくるめて、腹をたてているのです
精神病院の入退院を繰り返しているような妹の境遇のこともそうです
自分のパッとしない人生にもきっと腹をたてているのだと思います
世の中の何もかもが面白くないのです
ムシャムシャしているのです
だから、彼の瞬間切り替えスイッチのような怒りと暴力の発動は自然で一瞬なのです
そしてそれは私達の日常の不満、イライラ、不機嫌を代弁してくれているのです
だから本作の暴力にはカタルシスがあるのだと思うのです
もしも深作欣二監督が本作のオファーを受けていたなら、北野武監督の誕生はなく、その後の世界の北野武監督も無かったのです
傑作中の傑作です!
30年が過ぎ去っても未だに革新さは失われてはいません
アウトレイジより
アウトレイジを3本みてから、数十年前にみたこの作品をあらためて鑑賞。
音楽が絶妙だし
熱気と埃で揺らめく陸橋を歩いてるシーン
痺れます!
冷たい東が放つブラックジョークが人間味を増す
ラストの対決シーンは子供の頃にみて凄く怖くて印象に残ってます。
アウトレイジより好きだなー。
どいつもこいつもキチガイだ
エンケンや寺島進が若いチンピラ役。白竜大暴れ。逆光のたけしが痺れるほどカッコいい。トイレでのビンタ数十連発はハイライト。住宅街や港の風景でキタノブルーが見られた。まわされてジャブ漬けにされる妹の扱いがひでぇ。道で遊ぶ子供、布団を干す主婦、流れ弾にあたって死ぬ若い女など日常の描写の上手さがリアリティを増していた。終盤にいくにつれて暴力性と諦念感が加速する。
☆☆☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから 当たり前だけど、平泉成・遠藤...
☆☆☆★★★
※ 鑑賞直後のメモから
当たり前だけど、平泉成・遠藤憲一・寺島進らが
若い!若い!
懐かしの松竹セントラルが映り感慨に耽る。
ラストの銃撃前の佇まいには、思わずゾクゾクっとする。
2010年6月11日 新・文芸坐
面白くも格好よくもない刑事(仮)
鑑賞当時、あぶ刑事が最新の刑事ドラマのイメージだった気がします。後は刑事物語やジャッキーかな。
面白く、かっこよく、優しく、みたいなのが刑事ドラマのイメージだったので、面白くないし、格好よくもない。しかもあの怖くて痛くて嫌なやつじゃん。。。てなことで当時は結構、嫌な映画だと思ってました。
アクションじゃなくて暴力。。
今思えばそれだけインパクトがあったのだと思います。
面白かった
当時の監督の理念に基づいて、作品内の暴力描写には、観ている人へと痛みが伝わる生々しい表現が用いられている。
派手な演出や、奇抜な演出を用いずに淡々と暴力を描き出す。そこには、あまり痛くなさそうな暴力で客を喜ばせる当時のハ◯ウッド映画への皮肉が、これ見よがしに込められているとみて間違いない。実際、監督自らそのように述べている。
ラストは屈指の名シーン(笑)。
破滅的。
破滅的というか、
破壊的というか。。
後半は画面を直視出来ませんでした。
最近のグロい映画とはまた違うリアルさで。
とてつもなく恐ろしい。
ご飯食べた直後に観るものではありませんね。笑
脚本が野沢尚さんということに衝撃!
又、若かりし頃の〇〇さんがたくさん!!!
めちゃめちゃ豪華です。
当時の時代背景がストレートに伝わってくることも面白さのひとつ。音楽も印象的!
かっこいい
かっこよかった
画がとにかくかっこよかった
どこを切り取ってもiPhoneのトップ画に出来そうとか思った
特に妹がsweet memoriesの鼻歌歌う埠頭のシーンが良い
あとビートたけしの髪型が良い
この切れ味
これがデビュー作ってそりゃ世界の北野にもなるよねっていうか・・・圧倒的な衝撃度ですね。渇いた世界観が素敵すぎます。完全に独自の世界観。終盤の爆発的な怒涛の展開からのオチが最高。完全にぶっ飛ばされました。和製『ダーティ・ハリー』って言うと微妙に違うかもだけど、クセになる痛快さという意味では全く負けてない!!北野作品にこれ以上があるのか、追っかけが楽しみすぎる!!!
暴力が暴力たる理由
たけし演じる不良刑事の我妻の暴力性は粗野で反射的。
だからこそ暴力の怖さと凄惨さを正しくも表現している。
警察もヤクザも一般人も等しく狂っているし、暴力には暴力という現実をシニカルに表現!
息を飲まざる得ないラストは必見!
賛否両論の突然の衝動的暴力
総合70点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
いつものだらしないお笑い芸人のビートたけしが、北野たけし監督になった途端に豹変する。とぼけた態度から、法も社会秩序も無視した本能と衝動のままの躊躇のない突然の暴力が噴出する。今でこそ普通に受け入れられ評価されている北野監督だが、公開当時は巷で賛否両論だった。初めて観たときには彼の内面にこのような本性が隠れていたことに驚いたし、まだまだ荒削りだけど誰の真似でもないその刹那的な雰囲気を作り出す演出力も面白いと思った。物語は無茶なんだけれど、このような独特な暴力的雰囲気を堪能する作品であり、その後の北野作品の基が観られる作品でもある。
狂気あふれる監督第一作
今から思うと24年前のこの作品で傑作
「アウトレイジ」は既に下地が出来ていた。
ヤクザ、刑事とも、溢れまくる暴力シーンと
性的なシーン、残忍な描写のオンパレード。
人が訳もなく死にまくり、殺される。
将に、北野節炸裂と言ったところ。
とにかく、若かりし、北野武が
あのキョトンとした目で暴力を振るう
このコントラストの源流がここにある。
心して見よ。
驚愕
北野映画は好きで何本か見てるけど、監督デビュー作のこの映画は見たことが無かった。
今更とは思ったけど見てみて驚愕した!20年以上前、初監督作品でこの映画が撮れるんやからやっぱり天才なんやなと再確認しました。
大日本人とはえらい差やな・・・。
これは面白い
『その男凶暴につき」そのタイトルどおり凶暴でした。この映画は、実に面白かったです。映画の内容も良く、シリアスなシーンに笑いを加えたり、遊んでいる子供や洗濯をしている主婦、そして、無差別に殺された女性を加えることにより、作品にリアリティを感じて、良かったです。また、わたしは、北野武監督の映画の中の独特の表現や、余計な説明を加えないところが、好きです。そこも、評価に含みました。また、ビートたけしさん演じる刑事が、凶暴で、めちゃくちゃだけれども、かっこよく、どこか、魅力を感じました。
長いものには巻かれろのほうが・・・いい?
北野武さん初監督ということですがなかなか興味深い内容でした。
映画全体的に暴力シーンが満載です。本来深作さんが監督する予定だったそうですが都合によりできなくなりビートたけしさんがすることに。しかし彼のバイオレンス映写もすごく、血はそれほど出ませんが非常にとがった感じで日本らしい暴力シーンばかりです。
ビートたけしさんの演技がとても印象に残るもので「若いなぁ」と思いつつ狂気に満ちた演技に思わず鳥肌。そのほかの役者もそのキャラクターにハマっていて配役は文句なしのものです。
しかしこの映画のラストはいろいろ考えさせられるものでした。主人公の基地外っぷり、あの若い刑事の変貌。この二人のどっちがいいと思うあるいはマシと思えるかでいろいろ意見が分かれるのではないでしょうか。長いものには巻かれよという生き方のほうが安全で裕福でいいのか、刑事として身を削って職務を全うするほうがいいのか・・・
あくまで私の注目した部分の一つに過ぎませんがこの映画にはそのぐらい奥が深そうな要素が詰まってそうな映画とういうことです。
北野作品としての方向性が決まることになった記念すべき第一作。興味がある方は試に見るべきだと思います。
暴力で飾られた空虚な世界
タクシードライバーとは違う。
その突発的な暴力からは本質が見えてこない。
監督、北野武のその後の方向性を決定づけた処女作だが、その本質は突発的な暴力描写のインパクトとノワールな世界観で飾り付けられた中身の無い空虚な作品だ。 また、暴力描写に本質が無いからこそ作品全体にふわふわした空気が流れリアルさが失われている。
非日常的なバイオレンスの世界をどれだけリアルに見せるか、そこに本当の名作との大きな違いがみえた。
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