双生児

劇場公開日:

解説

同じ顔を持つ双子の兄弟の数奇な運命が招く復讐劇を描いた怪奇サスペンス。監督は「TOKYO FIST」の塚本晋也で、脚色・撮影監督・編集も務めている。原作は江戸川乱歩の短篇「双生児~ある死刑囚が教誨師にうちあけた話~」。主演は、「中国の鳥人」の本木雅弘と映画初出演のりょう。第56回ヴェネチア国際映画祭、モントリオール国際映画祭出品作品。

1999年製作/83分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1999年9月15日

ストーリー

明治末期。大徳寺醫院の跡取りとして若くして地位も名誉も手にした雪雄は、りんという美しい妻を娶り、まさに順風満帆の人生を歩みつつあった。ところが、そんな雪雄に突然の不幸がふりかかる。父・茂文と母・美津枝が相次いで不思議な死に方をし、自らも自分にまとわりつく謎の視線に悩まされるようになったのだ。そんなある日、ひとりで庭に出ていた雪雄は、自分と全く同じ顔をした男に古井戸に閉じ込められてしまう。雪雄の振る舞いを完璧に身につけていたその男は、何食わぬ顔で雪雄になりすますと、雪雄として生活を始める。実はこの男、脚に醜い痣があったことから、生まれてすぐに川に捨てられた雪雄の双子の片割れだったのである。乞食の角兵衛に拾われた男は、捨吉と名づけられ貧民窟で育ったが、自分の生家が立派な医院であったことを知り、積年の怨みを晴らすべく両親を殺害し、雪雄に代わって裕福な生活を手に入れることを思いついたのである。しかし、そんな捨吉の企みに気づいた者がいた。りんである。彼女は捨吉が貧民窟で愛した女であったが、角兵衛に勘当されて姿を消していた捨吉の帰りを待ちきれず、彼にそっくりな雪雄と結婚していたのだ。捨吉との再会を喜ぶりん。だが、捨吉は自分の正体をりんに明かさなかった。それが、自分を裏切ったりんを苦しめる何よりの復讐だと思ったからだ。こうして、何もかもを自分の手中に収めた捨吉。だが、悪運もこれまで。彼は井戸の底から這いあがった雪雄に殺されてしまう。その後、雪雄はりんとの間に子供をもうけ、以前と変わらぬ生活を送るが、ただひとつ以前の彼と違っていたのは、蔑視していた貧民窟の回診に出かけるようになったことだった。

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映画レビュー

3.0【江戸川乱歩の同名短編を換骨奪胎した、インダストリアル浪漫忌憚。】

2024年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■江戸川乱歩の同名短編の内容はご存じの方が多いと思うので、割愛。
 但し、今作では貧民窟で育った捨吉(本木雅弘)や、りん(りょう)の服装がインダストリアル美術で彩られている。
 更に、塚本晋也監督作品には、欠かせなかった故、石川忠氏のインダストリアル&ゴシックミュージックが、独自の耽美的な映像を彩っている作品である。

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NOBU

4.0浪漫チックな作風

2024年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

採点4.2
久しぶり、しかも劇場での鑑賞です。
塚本作品としては珍しく浪漫チックな作風で、しかしこれが江戸川乱歩の世界と実にハマっていました。
そしてやはり音楽が良い。
いつもの削るような金属音でなく、そこはかとなく耽美を感じます。
合わせて美術、衣装にメイクも個性的。
それと眉なしがすごく新鮮、何より主演の二人に合っている。
りょうの髪型もすごいインパクトでした。
モッくんも井戸と貧民街メイクは鉄男そのもので、すっごい格好良いです。
そのモッくんの二役、光と闇の芝居がすごい良かったです。
自らも下に落とされたことで闇を知り見識を深め、そして温もりを持つ。
そのサイケデリックな世界、やはり面白かったです。

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白波

1.5もっ君は良いのだが

2023年7月7日
iPhoneアプリから投稿

塚本晋也監督も好きなのだが今作はピンと来なかった。

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aaaaaaaa

3.5雪雄/捨吉

2023年3月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

塚本晋也がプロ根性を炸裂させたというかメジャーでも自分の色を失わずに堂々とやってのけた感じがする。

まずオープニングの音楽が印象深く劇中でも流れる不穏な雰囲気にピッタリ、時代的にそうだとしてもどこか鈴木清順と木村威夫による"清順美学"に近い何かを!?

りょうってあんなに綺麗で魅力的な女優だと改めて、本木雅弘の狂った様と奇妙な存在感はある意味得意分野でも、当時観た時と同様に浅野忠信の格好良さが廃れないあの場面だけで全てを掻っ攫う役者冥利に尽きる。

もっと塚本晋也に映画を撮らせる環境が大手に金を出す太っ腹な器量が足りない。

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万年 東一