戦争と人間 完結篇

劇場公開日:

解説

五味川純平の同名小説の映画化の第三部・完結篇。果てしない動乱の歴史に翻弄される人々の運命を、“死の商人”新興財閥・伍代家の綾なす人間模様を中心に描く。脚本は「戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河」の武田敦と山田信夫、監督も同作の山本薩夫、撮影は「恋人たちは濡れた」の姫田真佐久がそれぞれ担当。

1973年製作/184分/日本
原題:Men and War: Part 3
配給:日活
劇場公開日:1973年8月11日

ストーリー

昭和十二年、日中全面戦争は火蓋を切った。同十二月、南京陥落、そして、日本軍による大量虐殺。東京。伍代家では長女・由紀子の結婚披露宴が進められていた。由紀子は、青年将校柘植への情熱を胸に秘めながら、父・由介が決めた東亜銀行頭取・雨宮の令息との政略結婚に身を沈めた。一方、次女・順子は、兄・俊介の友人で、反戦運動に激しい闘志を燃やす標耕平と秘かに結婚式を挙げるため、伍代家をあとにした。彼は順子との束の間の愛をかみしめながら入隊、大陸の戦線へと送り出されていく。そして、日本軍の蛮行を目の当りにしながら自分の主義を守りぬくのだった。順子は標の友人達と平和運動に身を置きながら、遠い大陸の標の無事を祈るのだった。俊介は、軍需産業へと転身した伍代の満州支社へ赴任した。だが彼は、身の危険もかえりみず、戦争の無謀さを軍部に説いた。一方、身売り寸前に俊介に救われた村娘・苫は、伍代家で女中として働きながらも、俊介への慕情を断ちがたく、彼を追って単身、大陸へと旅立つ。そして、俊介と愛の一夜を過した苫は、異国の街へ姿を消した……。後介は反戦活動を問われ、同志の田島とともに投獄されるが、やがて、伍代家の威光で、拷問と闘う田島を残して獄から解かれた。自らの矛盾に悩む俊介は、対ソ戦の第一線に一兵卒として銃を取るのだった。昭和十四年。満州と外蒙古の国境ノモンハンで、国境紛争からソ連軍との間に大規模な戦闘が開始された。日本軍は高度に機械化された物量を誇るソ連軍に惨敗。俊介の所属する部隊も、ソ連の戦車軍団によって徹底的に壊滅する。柘植は、砲弾が炸裂する中を、ソ連軍の陣地に斬り込み、壮烈な最期をとげた--戦いというより日本軍司令部の苛酷な命令に従った死の突撃だった。天を焦がすどす黒い硝煙の下、累々と地を覆う日本兵の死体。だが、その中で、俊介は生きていた……。伍代家にも時代の嵐が吹きさんで来た。軍部は巨額の軍費を得るべく、伍代財閥にも圧力をかけ始めたのである。一方、順子には既に、標が死んだとの報せが届いていたが、ある日、ものものしい憲兵隊が、標の順子宛の手紙を押収しに来た。居丈高な彼らの態度から、標が生きていることを知った。彼は抗日運動に身を投じたのだった。ノモンハンの荒野は墓場と化し、生き残った帰還部隊がハイラルの街を行く。放心した隊列の中には俊介の姿もあった。涙にまみれた苫との再会も、彼の疲れを癒してはくれなかった。時に、ヨーロッパでは、ナチスがポーランドを占領。やがて、大戦の炎は、不気味に膨張した日本ファシズムを捲き込んでいった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0中途半端な終わり方

2022年10月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

日活の経営不振とはいえ、観客としては消化不良で、気持ち悪い。

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あっちゃんのパパと

4.5日本陸軍の狂気を見事に描いていた

2020年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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共感した! 2件)
Kazu Ann

3.0私達同朋の日本人が殺されて喜ぶ反戦映画だ 中国共産党の為なら、日本人は殺されて当たり前だという精神構造で撮られた映画であるのだ

2020年8月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

いやはや何という映画だ
劇中、日本兵が中国共産軍の宣伝ビラを拾って読むシーンがある
内容はこうだ

親愛なる日本兵諸君に告ぐ
我々は共に同じ労働者、農民、市民ではないか
我々は兄弟であって敵ではない
本当の敵は日本の天皇、並びに軍閥
これと結託した資本家、地主らの日本支配階級だ
諸君の貴重なる、生命を支配階級の為に捧げるな!
今からでも遅くはない
放棄せよ一切の武器を!
戦闘を停止し、我がもとに来たれ!
そして平和の為に戦おう!
中日共同闘争同盟

本作の内容的はこのビラそのままなのだ
つまり中国共産党のプロパガンダを純度100%で映画化されているのだ

そこに真空地帯で映画にした兵隊生活の理不尽さ、左翼活動取締りの過酷さ、ノモンハン事変の戦闘シーンを合体させたものだ

日本兵が共産ゲリラが隠れる村を襲撃して年寄り子供に至るまで皆殺し、女は暴行するシーンがある
そこに当時八路軍と呼ばれた中国共産軍が現れて、日本兵を包囲し逆に殲滅するシーンがある
正義の味方は共産軍で、極悪非道な日本人を殺戮するヒーローとして描かれるのだ

戦争の狂気は地獄の黙示録でも描かれる
同様に共産ゲリラが潜んだベトナムの村を米軍が襲撃するシーンも類似するが、米兵が殺されて溜飲を下げるまでやることはさすがになかった
しかし本作ではそれをするのだ

終盤のクライマックスはノモンハン事変の戦闘だ
近代化されたソ連軍の戦車、爆撃機、砲兵、兵の持つ自動小銃などの圧倒的な火力装備が登場する

本物のT-34 戦車など本物を大量に、しかも動かして撮影しているのは見物だ
そのシーンは軍事マニアならみる価値は有るだろう

それらをソ連軍は高速度で機動させ戦線を推進させてくるのだ
日本軍は、近代化された戦争に全く対応できず、旧態依然とした戦い方で大損害を受けるシーンが長々と続く
戦争の悲惨さを描くシーンだ

しかしソ連軍がヒーローのようで、日本兵が殺されてザマミロという表現なのだ

本作はそういう映画ということだ
反戦映画であるのか?
そう問われればその通りだ

しかし、それは私達同朋の日本人が殺されて喜ぶ
反戦映画だ
平和の為なら、日本人は殺されて当たり前だという精神構造で撮られた映画であるのだ

いや平和の為ではない
中国共産党の勝利の為ならなのだ
背筋が凍り付くとはこのことだ

戦争をするくらいなら、殺されよう
そう歌ってビラを撒く団塊左翼老人達のいうメッセージの意味とはこういうことなのだ

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あき240

2.5長い。重い。

2019年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

3部作ぶっ続けで観た。ノモンハンがテーマのため悲惨すぎる。体力気力ともに必要な作品。

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さすまー
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