劇場公開日 1964年2月15日

「ものすごい閉塞感」砂の女 だるちゃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ものすごい閉塞感

2024年11月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

何十年も前にテレビの深夜枠で放映されていたのを観て、かなりのインパクトを受けていましたが、レンタルビデオも出ておらず、セルビデオを購入するまでもなく、そのまま記憶の奥に沈んでいました。
今回、たまたまyoutubeで再見する機会がありましたが、相変わらずの閉塞感と不快感に圧倒されました。
まず、岸田今日子の絶妙な不細工感が秀逸です。
これが、誰でも認める程の美人だったら、あの家は楽園になって脱出したいとは思わなかったでしょうが、そうではないだけに、逃れたい一心になったのだと思います。
日常でも、何とも思っていないちょっと不細工な異性から間接的な好意を寄せられ、困る事があると思います。性格も良いし別に嫌いではないが好きでもない、相手を尊重しつつも距離を保っている人間関係があると思います。
そんな相手と狭い空間に閉じ込められ、一生そのままかもと思う絶望感は半端ないと思います。
この作品はその感覚を上手く描いていると感じました。
また、最後の逆説的な行動も、諦めなのか余裕なのか、納得なのか、考えさせるものがありました。

だるちゃ