「人間の根源的な生命力を特殊な環境で描き切った日本映画の力作、その驚嘆と圧倒」砂の女 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の根源的な生命力を特殊な環境で描き切った日本映画の力作、その驚嘆と圧倒
観念的で幻想的で閉塞的で脅迫的で実に興味深い映画の力作。突然遭遇した特異な環境で、あらゆる生命力を発する人間のしぶとさと美しさと醜さ。原作の寓話の世界を見事に映像化している。このような映画は世界の他の国では作られないであろうし、作られていても日本公開されないであろう。正に唯一無二の存在感。蟻地獄のような世界観で物語が語られる特殊さに唖然としながら圧倒されてしまった。殆ど主演ふたりだけの登場人物で、岸田今日子の不思議な魅力と個性が主人公に適格すぎて、これも高評価の要因に挙げられる。
1976年 6月26日 フィルムセンター
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