砂の器のレビュー・感想・評価
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豪華キャストの演技も見所。
こんな展開のサスペンスを観るの初めてでした。中盤まである程度の容疑者やその関係は分かってて容疑者のオーケストラとの演奏で
犯人の生い立ち、宿命とはを刑事が生い立って話す展開は今まであまり無かったので逆に新鮮でした。キャストも豪華でしたし演技に力がありました。当時の日本の風景や生活感も映像になって観れて懐かしを感じさせられます。当時はまだまだ貧困な時代でしたが現代より自由だったように感じました。内容もサスペンスって言うより宿命とは何ぞや?幸せは何ぞや?親子愛のちょっと哲学的な内容な感じをしました。容疑者が演奏しながら自分の生い立ちが流れるシーンは何か悲しいんだけど力強さを感じてちょっと泣けてきました。
『砂の器』
美しい映像だけに、細部までこだわって欲しかった…
脚色の見本、演出の手本
脚本が素晴らしい。
長大な原作を大胆に省略し、殺人事件を一件だけに削り、犯人の数奇な運命と宿命に焦点を絞りこんだ見事な脚色。
ほぼ全編を通して、刑事の地道な執念に満ちた捜査が描かれる。
その進捗が字幕で説明されるという、映画ではあるまじき手法が用いられているが、登場人物たちにそれを説明させないことで、ドラマにリアリティーを持たせている。
捜査員たちの活動を遠景で撮影したシーンが何度か出てくるが、捜査は足で行うということがよく表現できている。最近の刑事物が最も描けていない部分だ。
ロケーションにも驚嘆する。
時代背景を考慮してもこんな居住区が存在するのかと思うような村落を、これまた遠景で捉える圧倒的迫力。
そしてクライマックス。
捜査会議での逮捕状請求で唐突に犯人が特定される。
観客は、恐らく加藤剛が犯人なんだろうと気づいてはいるが、丹波哲郎がいかにして犯人特定に至ったかを知らない。
これを丹波哲郎の語りによって説明させるという、字幕に続いて駄作に陥る危険性の高い手法だ。
だが、この丹波哲郎の語りとともに、言葉より饒舌に映像と音楽が事件の背景を明らかにしていく。
この、日本映画史上屈指の名場面に、涙しない者がいるだろうか。
犯人和賀英良を原作の前衛作曲家ではなく、ピアニスト兼協奏曲の作曲家・指揮者にアレンジしたことで、この名場面は生まれる。
これも脚色の力だが、一方野村芳太郎の演出は、前半で捜査の進捗を文字で説明しておきながら核心部分では言葉を排した映像で言葉以上の説得力を発揮する。見事としか言いようがない。
また、芥川也寸志と菅野光亮による音楽が、シーンをより悲壮かつ劇的なものにしている。
キャストも絶妙だ。
繊細かつ鋭利な加藤剛、情熱溢れる森田健作の二人は、今見ても二枚目だ。
丹波哲郎の一見棒読みのような台詞回しは、抑揚がきいて深味がある。
清楚で愛らしさの残る島田陽子の美しさ。控えめなバストは後に全米のテレビ視聴者を釘付けにすることとなる。
宿命
名作
古い映画
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