砂の器のレビュー・感想・評価
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また見ることできて良かった
以前はテレビでぼんやりとしかみていなかったので、覚えていなかったり勘違いしていた箇所が沢山あった。今回、きれいな画像で見て、本当に感動した。子どものときによく目にしていた役者さんが沢山出ていて、筋も演技も音楽も全て良かった。邦画の素晴らしさ。
地図を調べたり、血液型など旧式の捜査方法が懐かしい。 今だったらG...
地図を調べたり、血液型など旧式の捜査方法が懐かしい。
今だったらGPSとDNAでドラマにならないであろう。
最後、犯人が逮捕されるシーンがなくて良かった。凡庸な刑事ドラマになっていたであろう。
来世に残したい名作
とても丁寧につくられています。2017年現在では考えられないような味わいがあります。俳優人たちが皆素晴らしい!笠智衆や渥美清、加藤嘉はもちろんですが、丹波哲郎の 自然な演技には惚れ惚れしました。若い森田健作も良かった!何度見ても わかっていても 長いながい クライマックスでは涙がこぼれます。
あまりにも哀しい
サスペンスにありがちな、身元不明の殺人事件から、捜査の過程で集められた情報がパズルのようにハマっていき、予想もしなかった結末へと導かれていく。とても見応えある作品でした。そして偏見や差別は、それを受けた人たちにどれほどの心と体に傷を負わせるのか。なぜ、人は、社会はそれを理解し、手を差し伸べる事が出来ないのか。哀しくて仕方ない作品だ。父と息子の、二人にしか分かり得ない絆と、それぞれが背負ってしまった宿命を呪う事なく全うしていく美しさに涙が出ました。
ご都合主義のパッチワーク
原作・松本清張,監督・野村芳太郎ということで,満を持して観に出かけた往年の名作「砂の器」(1974)。手元の解説書にも,
> 犯罪という悲劇の中で人間が背負う業を感動的に描き,内外の高い支持を集めた。
とあり,期待はさらに高まった。
が,しかし。ストーリィ全体はトリックやロジックを軽んじ,ストーリィ全体を構成する各地でのロケ・小ストーリィをご都合主義にパッチワークしたとしか言いようがない。
むろん作品が制作された時代性はあるのだろう。つまり,それまでの探偵小説から一皮むけ,社会派推理小説家として松本清張がもてはやされた往時にあっては新鮮で耳目を引き「高い支持を集めた」のだろう。しかし現在から振り返ると過去の遺物としか評しようがない。
私の右斜め前に座っていた若い女性はハンカチで涙を拭っていたのが不思議でならなかった。また,キネマ旬報社の映画評といえども,鵜呑みには出来ないこともよく分かり,今後の映画選択に向けての貴重な体験にはなった。ありがとう,「砂の器」!.....?
日本人の琴線に触れる映画
久し振りに観て、また涙が溢れ止まりませんでした。
前半は殺人事件の犯人を探す二人の刑事の姿を丁寧に描き、ミステリーとしての面白さと緊張感に溢れ、後半は捜査本部からコンサートホールへ、そこで演奏される曲がBGMとなって回想シーンへと導入され、各シーンが交錯しながら事件の真相が明らかになっていく。まるで交響曲の様な見事な構成です。
野村芳太郎監督は他に何本かの清張原作ミステリーを映画化していますが、ミステリーの枠を越えて美しい日本の風景をバックに、人と人との宿命の絆を情感豊かに描き切った本作はやはり最高傑作と言えるでしょう。
やっと見れた
公開当時は洋画をメインに見ていたので、本作品は見に行かなかったのですが、この映画のサントラはよく聞いていました。
音楽とポスターから、これはTV放送やDVDで見てはいけない気がして数十年が経過。やっと映画館で見る機会に巡り会えました。
後半の盛り上がりは、聞き慣れた曲に回想シーンが重なり、涙が溢れて止まりませんでした。
久しぶりに、サントラを聞こうと思います。
推理物というより人間ドラマ
松本清張の推理小説が原作だが、
非現実的な捜査手法や知性に欠けた証拠隠滅方法など、
つっこみどころ満載。
といっても、映画の肝はそこではなく、
原作で端折られている部分だと思う。
旅行や放浪で日本各地の農村を巡るのだけど、
地域性を明確に描き分けた稀な風景描写で、とにかく美しい。
荘厳なテーマ曲と相まって深く突き刺さる。
そして、当時の社会問題を下敷きにしたシリアスなストーリーと、
犯人を中心とした人間ドラマが…。そして加藤嘉が…。
独創的な構成の中で
飛び抜けた映像、曲、話、演技が全て揃って表現されている日本映画の傑作。
万人受けはしないかもしれないけど誰かの一番になる作品
この時代だから
名作の誉れ高い作品、謎解きミステリーでも確かにあるが、宿命を背負った苦悩の物語なのか、最後の演奏、回想は確かに圧巻だった、只?鑑賞が今更で遅かった~_~;
ハンセン病が当時どう扱われていたか、かなり偏見差別も有ったと思われる、それが解って観るともっと良かった。
加藤嘉の名演が泣かせる
実は10回くらい観ているが、たまたま兄貴の家にDVDが有ったので、つい観てしまった。
加藤嘉が、犯人である加藤剛の写真を見せられたら時の演技で泣いた。
残念なのは森田健作と丹波哲郎の演技。
合わなかった
昔の映像、音、演技、合わなかったなぁ。名優揃いで豪華なんだけど、丹波哲郎の驚いたときにのけぞる演技など、いまいちな部分もあった。ストーリーは悪くなく、それなりのテーマがあるんだろうけど心には響かなかった。好みの問題なんだろうけど。残念。
映画とはこういうもん!
警察官の捜査としては現在(2015年)から観れば
少々ゆるい所もあるのですが、そういう自由のあった時代の作品。
全く関係無く見えている複数のものが
やがて1つに集約されて行くのは
サスペンスやミステリーの醍醐味なのですが
それが、海外では無く日本の元風景の中で展開してゆく
この映画の映像の美しさは記録映画としても価値あるものでしょう。
昭和の名優達のほんのワンカットの出演シーンも
あら!こんな所にこんな人が!と言う見つける楽しさあり
長い物語の中に引き込む力がやっぱ半端無いと言うか
まさに映画とはこういうもん!と言って遜色無い作品です。
この作品の悲劇の元は形を変えて今でも残っているし
無知と貧困の残酷さは今の方が大きいかもしれません。
時代を超えて、人々に突きつけられる課題ですね。
豪華キャストの演技も見所。
こんな展開のサスペンスを観るの初めてでした。中盤まである程度の容疑者やその関係は分かってて容疑者のオーケストラとの演奏で
犯人の生い立ち、宿命とはを刑事が生い立って話す展開は今まであまり無かったので逆に新鮮でした。キャストも豪華でしたし演技に力がありました。当時の日本の風景や生活感も映像になって観れて懐かしを感じさせられます。当時はまだまだ貧困な時代でしたが現代より自由だったように感じました。内容もサスペンスって言うより宿命とは何ぞや?幸せは何ぞや?親子愛のちょっと哲学的な内容な感じをしました。容疑者が演奏しながら自分の生い立ちが流れるシーンは何か悲しいんだけど力強さを感じてちょっと泣けてきました。
『砂の器』
丹波哲郎、森田健作、加藤剛。
さらに加藤嘉、笠知衆、花沢徳衛、菅井きん、野村昭子と渥美清が押しのけられるようないぶし銀の大物俳優がズラリ。
島田陽子の悲哀な女の演技。クラッときた夏純子の夜の蝶。松山省二の岡山弁。春川ますみの女中役。
何もかもがエクセレント。
美しい映像だけに、細部までこだわって欲しかった…
原作のほうが好き。
名優ぞろいで、若かりし頃のあの人も!
事件のキーとなる訛りがしっかりしていた事や、巡礼の映像がとても美しかった。
ピアニストの手が非常にポチャっとしていて…俳優の体格と合わず残念。
細部までこだわって欲しかったですね。
脚色の見本、演出の手本
脚本が素晴らしい。
長大な原作を大胆に省略し、殺人事件を一件だけに削り、犯人の数奇な運命と宿命に焦点を絞りこんだ見事な脚色。
ほぼ全編を通して、刑事の地道な執念に満ちた捜査が描かれる。
その進捗が字幕で説明されるという、映画ではあるまじき手法が用いられているが、登場人物たちにそれを説明させないことで、ドラマにリアリティーを持たせている。
捜査員たちの活動を遠景で撮影したシーンが何度か出てくるが、捜査は足で行うということがよく表現できている。最近の刑事物が最も描けていない部分だ。
ロケーションにも驚嘆する。
時代背景を考慮してもこんな居住区が存在するのかと思うような村落を、これまた遠景で捉える圧倒的迫力。
そしてクライマックス。
捜査会議での逮捕状請求で唐突に犯人が特定される。
観客は、恐らく加藤剛が犯人なんだろうと気づいてはいるが、丹波哲郎がいかにして犯人特定に至ったかを知らない。
これを丹波哲郎の語りによって説明させるという、字幕に続いて駄作に陥る危険性の高い手法だ。
だが、この丹波哲郎の語りとともに、言葉より饒舌に映像と音楽が事件の背景を明らかにしていく。
この、日本映画史上屈指の名場面に、涙しない者がいるだろうか。
犯人和賀英良を原作の前衛作曲家ではなく、ピアニスト兼協奏曲の作曲家・指揮者にアレンジしたことで、この名場面は生まれる。
これも脚色の力だが、一方野村芳太郎の演出は、前半で捜査の進捗を文字で説明しておきながら核心部分では言葉を排した映像で言葉以上の説得力を発揮する。見事としか言いようがない。
また、芥川也寸志と菅野光亮による音楽が、シーンをより悲壮かつ劇的なものにしている。
キャストも絶妙だ。
繊細かつ鋭利な加藤剛、情熱溢れる森田健作の二人は、今見ても二枚目だ。
丹波哲郎の一見棒読みのような台詞回しは、抑揚がきいて深味がある。
清楚で愛らしさの残る島田陽子の美しさ。控えめなバストは後に全米のテレビ視聴者を釘付けにすることとなる。
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