砂の器のレビュー・感想・評価
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盛り沢山の贅沢な映画
午前十時の映画祭にて鑑賞。
実は以前にも午前十時の映画祭で鑑賞したことがあり、今回は二度目となる。前回はよくわからなかった部分も多くてそれほど感動しなかったが、今回はネタがわかっていてもミステリーとして面白く、過酷な差別を背景とするヒューマンドラマとしても秀逸、俳優陣も往年の松竹オールスターで大変豪華、笑えるところもお色気もあり、とまぁなんとも贅沢なエンターテイメント大作で、長丁場なのにずっと引き込まれて見てしまった。
午前十時の映画祭の上映作に何度も選ばれるだけのことはある傑作。
映画でしか表現のしようのないものを表現した小説を超越した価値と意義がある本当の名作
4Kリマスター版で観ました
鮮明な映像はレンズの味だけでなく、不思議にもスクリーンに投影される空気感までを感じました
そして昭和の映画館の匂いまでも
なにより5.1chサラウンドでの音響が明瞭で宿命の音楽の破壊力が遺憾なく発揮されています
圧倒的な感動で号泣しました
日本人の琴線に触れる映画なのだと思います
国際的にこの感動を共有できるのかというと疑問です
海外の人々には何割も割引いてにしか分かってもらえないだろうと思えます
それでも良いのです
日本に生まれたということ、日本に育って生きているということ
その者だけが理解できる、まさに宿命の映画なのです
神がかっているとしか言えない見事な構成です
冒頭の音楽から、ピアノ協奏曲「宿命」の完成に向けて旋律が徐々に完成に向かい、終盤での初演奏で完結する物語です
その音楽の中に英良の回想、捜査の進展が全て内包されているのです
主題はあくまで放浪の旅の回想シーンにあります
そのシーンの日本の四季の中にある父子の困窮の姿こそ日本人の魂を震わせるのです
劇中に様々に編曲された宿命の旋律が、クライマックスに劇的に盛り上がっていくさまは正に交響曲です
問答無用の破壊力なのです
砂の器
それは何も入れられない
直ぐに脆く崩れさる形だけのもの
冒頭と劇中の映像表現もあまりにも美しく見事でした
日本人にとって永遠の名作でしょう
映画でしか表現のしようのないものを表現した小説を超越した価値と意義がある本当の名作です
映画音楽
日本映画において、ここまで映画音楽を効果的に使った演出は見たことがない。
過去回想シーンで流れるあの宿命。ただのメロディでもない、音楽の中で大きい波がゆっくりと、しかし激しく動く。彼の過去や感情と完全にリンクした宿命は、セリフが全くないシーンでも役者の代わりに語るようだ。
その演出は観客の心を動かし、どんどん映画の中へ引き込んでいく。演奏シーン、回想シーン、捜査シーンをうまくカットバックで演出している。
また映画そのものについて考えるとすれば、ハンセン病という難しいテーマと真っ向から向き合う映画でもある。
ただの犯人探し映画ではないのだ。
戦後の日本の問題が映画のそこら中に散りばめてあり、現代の映画には見ることができない映画である。
見終わったあと観客に問いかけるような演出も良かった。
日本映画最高峰の映画と言えるだろう。
じゅんぷうまんぱん
中学生の頃、ハンセン病や社会派サスペンスの意味も知らずに映画館へ観に行った。丁度推理小説が面白くなってきた年頃でもあり、江戸川乱歩ファンから脱皮したかったこともあって大人向けの推理小説にチャレンジしたかったのです。その映画がデジタル・リマスター版として甦った。リピートといっても30年ぶりの鑑賞になるのです!
当時はまだ差別語として確立していなかったため、“ライ病”と堂々と言っており、同じ年に公開されたスティーヴ・マックィーン主演の『パピヨン』でもライ病と字幕に書かれていた。中学生にはその病気の重さが当然理解できるはずもなく、単にサスペンスとしての楽しみかたしかできなかったものです。しかも同級生は誰も観てない・・・
石川県の風景も登場するので、劇場内ではざわざわし始めました。「あれは山中温泉よ」などといった声も聞こえてくる。島根県の出雲亀嵩などは実際の地名なのに、石川県は上沼郡大畑村という架空の地名なのだ。車は白山方面へ進み、親子の故郷となる村に到着するのですが、多分岐阜県白川郷だろう。
大人になってから観ると、なぜこうも感動できるのでしょう。巡礼のような迫害された親子の旅。この旅のシーンが何の説明もなく、加藤剛が交響曲「宿命」を指揮するシーンとオーバーラップし、彼の生きた人生の苦悩と父への想いが音楽の中に溶け込んでくるのです。真っ赤な夕陽の背景を基調として、立ち寄る先でいじめられる親子。ノスタルジーを通り越して、美しい日本の風景の中でも弱者を虐げる心の醜さが浮き彫りにされる。そうした過酷な親子の前に現れる聖人のような男。この辺りで涙腺が緩みっぱなしへ・・・
そして体が震えるくらいに号泣させられたのは加藤嘉の演技。息子に会いたいけれども「知りません」と言うしかない心の葛藤と止めようのない慟哭。劇場でしか味わえない悲しみの空気を感じました。
残念なのは、丹波哲郎と森田健作。彼らの二人だけの会話はなぜか全てアフレコっぽい。一本調子の大霊界男と、声が裏返りそうな「吉川くん」男。そのままの録音だとかなり聞き取りにくいのでしょう。そして“順風満帆”だと思うけど“じゅんぷうまんぽ”とおっしゃった刑事。それでも、島田陽子の初々しいヌードのおかげで加点すると、満点になってしまいます。
2005.11 金沢コミュニティ映画祭にて
後半の展開に心の準備が…。
序盤は淡々と進む。ただ、役者陣の演技がいいことと、この時代の捜査、町並み、列車などのノスタルジックさに、心躍る。でも後半の展開に心の準備ができていなかった。人生の過酷さを描き、過去のタブーを打ち破るストーリーに、もはや震えながら観るしかなかった。そして、昭和のうちの40年間の社会や生き様が凝縮されているこの映画は、やはり不朽の名作と言われるだけの価値があるのだ。
親と子の宿命
映画のラストでも字幕で述べているように、癩病は根絶された今でも永遠に残っている親子の宿命を、正義感の強い元巡査が他人の親子関係に深く関わってめちゃくちゃにしてしまったお話。
三木謙一元巡査が和賀英良に父親に会わせようと首に縄をかけてでも連れて行くと強要したのが、殺人の動機になった。
今でも正義感を振りかざして他人を不幸にする人は多い。
出色の 加藤 嘉の演技
今年 加藤 剛 が亡くなり、追悼の意味でも視聴した
戦後を代表する、二枚目俳優だった
脚本陣も 豪華で、物語は 無駄なく語られる
色々な俳優が 出演していて、懐かしい思いで見たが、千代吉を演じる 加藤 嘉に心を揺さぶられる…
会心の演技では ないだろうか?
出色の出来である
芥川の音楽は やや甘ではあるが、日本の原風景の
四季の中を 巡礼(実際は放浪なのだが…)の様に
歩き続ける親子にかぶさり 涙を誘う
(加藤 嘉の歩く姿が また!)
1974年の映画で ハンセン病への過去の無理解
を 語っているが、
1996年まで「らい病法」が存続したのは、何故? (新規患者もゼロなのに… )
また キリスト教が比較的理解を示していたと、記憶する
(後年、様々な宗教の影響力行使も指摘される…善意からの行為ばかりで無いことが、やり切れない…)
映画に描かれたように、人間の(行政、宗教の)
冷たさも、実感する
関係ないが、加藤 嘉が 痴呆気味の老人役で、
モスクワ国際映画祭で最優秀主演男優賞を取った
「ふるさと」を見てみたい!
戦後 左寄りの人であったが、彼の多難な人生が、
その演技力に 更に 深みを与えている様な気がする
また、業を感じるさせるところも、凄い
笠 智衆が 平穏の、加藤 嘉が 悲運(非業)の 老人を演じたら 完壁なのが わかる
(そして 悪業も、ド迫力!)
昭和のオールスター映画
加藤剛さんが亡くなって、フィルムコンサートをやったりしているので、気になって鑑賞した。
ハンセン病をサスペンスの題材にした松本清張は偉いと思うけど、どうして本作公開後も長らく優生保護法が存続してしまったのか、疑問である。恐らく、みんな御涙頂戴映画のネタにハンセン病を使ってみただけなのだろう。
インターネットが無い時代の捜査がどんなものだったかがわかって面白い。
女性刑事が登場しないのはもちろん、女性はホステスか女将しか登場しないのに時代を感じる。
回想シーンがいささか長過ぎる。
安心できる社会など
自分で逃れられず、だが誰のせいでもない事を宿命と言うが、本作は社会が関わっていると示唆する。優れた社会派作品は、社会問題を鋭く描くが、観る人の心もうつ。もし完全に社会の問題で、個人が無関係なら感動はしない。私達と社会は関係があり、社会を改善しなければ深い悲しみを味わう。だが、今のところ社会は、砂の器の様に、築かれては崩れ、脆い。
泣ける
清張と野村芳太郎 芥川也寸志
今見ても感動する。
その後のTVドラマにもなっていたが
らい病自体に触れない、戦災の混乱を踏まえていない等の不満が有った。
それらを背負って成り上がる和賀英良と徹底した善人三木巡査の対比にはそれが要るだろう。
懐かしい俳優さんにも敬意を抱いてしまう。
80年代、緒形拳なしには日本映画は語れないぐらいの勢いだった。このころからやっぱりすごい。
昭和の名作
AmazonPrimeで視聴。
とにかく豪華な役者陣。そして皆若い。特に森田健作。
東北、東京、金沢、大阪、伊勢、出雲と、全国を周り当時の日本の街並みが見られるのもこの作品の見所の一つだ。
交響曲と親子の旅の回想のシーンは最高だ。
これは何が面白いの?
被害者を追っていくうちに、いつのまにか犯人もわかってくるという、何となく違和感のあるミステリー風刑事ドラマ。あまり謎解きをした感じもなく、どうして犯人なのかもよくわからないまま、逮捕状が取れて終了。うーん。カメダという言葉の意味がわかるまでが見応えあったかな。それ以後は無理やりすぎ。
犯人の父親がハンセン病で、子供の頃に生き別れ、数十年後に、再会を要望しに来た人を殺す、ってのが動機として無理やり。しかも恩人じゃないか。殺す理由がちょっと理解できない。ハンセン病が酷い差別をされて来たとはいえ、会わせたいという人を殺す殺人がありふれてたわけじゃないでしょう?知らぬ存ぜぬで通せばええやん。
何がしたいかよくわからない犯人と、何故それがわかったかよくわからない刑事との、2軸で進められて、何がやりたいんだか、って内容でした。
号泣する人は何に号泣するの?
父子愛?愛があるなら会いに行くだろ。完全に自己保身だけの殺人。
音楽の中だけで父に会う、とかちょっと言ってる意味が分かりません。
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