劇場公開日 2005年6月18日

砂の器のレビュー・感想・評価

全101件中、21~40件目を表示

4.0言うまでもなく日本映画の金字塔

2022年6月19日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

この映画を見るのは何回目だろう?少なくとも4回、もしくは明らかにそれ以上みている。しかも何度見ても新しい発見があるこの作品はやはり古典的名作と素直に評価して良い。今回は古典的ロードムービーとしての観点から見直してみた。既に観光地として定着した感のある場所と同時に今でも中々余程でなければいく機会のない場所を実名と架空で絡めて、想像の幅を広げる手法は見事である。そして言うまでもなくそのテーマは今も脈々と繋がってきており、その根の深さを改めて浮き彫りにする。今日では名作🎦あんへも通じるテーマである。未見の方にはぜひ一度ご覧いただきたい名作のひとつである。

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mark108hello

4.0組曲

2022年6月1日
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ラスト40分に渡る組曲「宿命」の叙情あふれる調べに浸る。大胆な構成に骨抜きにされる。なぜ少年は逃げたのか、そして殺意の動機、周囲の解釈に依らない自我の発現。呼応する父の想い。丹波哲郎の短い説明。説明が少ないおかげで想像が広がる。演奏の上に汗が滴る加藤剛の笑顔が清々しい。
少し展開が突拍子もない所もあって戸惑ったところ。新聞のコラムからいきなり重要証拠に出会したり、大人になった写真を見て東京に飛んでいったり。流産から死に至る島田陽子、加藤剛が羽後の列車に乗っていたのもよくわからないところ。

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Kj

5.0蝉の音、うちわ、夏、田舎

2022年5月30日
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と思った。一瞬。でも。
都会も夏は暑いだろうね笑
近年まで存在してた文化、夜這い、見世物小屋、障害者に対する去勢、昔は姥捨山、
五体満足に生まれて良かったが痛みや苦痛を感じてないこの瞬間が永遠ではないなんて嫌だな、信じたくないし思えない思いたくない
人間だもの、大霊界2

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ミスター

3.5脆い器

2021年11月13日
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鑑賞方法:VOD

人の悲しい宿命がテーマ。

出自、親子の愛、正義感など多くの要素が絡み合っていた。
過去の宿命を断ち切るために事件が起き、曲が完成したことは何とも残酷だ。

逮捕状を持ちながら、曲を聴いている刑事の表情が複雑である。
古い作品ではあるが、今の時代にも訴えかけるテーマであった。

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ランニングマン

3.0「宿命」

2021年11月8日
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鑑賞方法:VOD

物語の真相が明らかになるシーンで「宿命」という題名の曲が独奏されるが、そこは小説では表現しきれないくらい胸が痛くなるシーンの連続だった。

小説は当然文字だけで表現される。想像を掻き立てられるがそれを文字で説明されてしまうので読み進めるほかないのだが、小説を映像化するにあたってそれをセリフではなく映像で説明する力量がとても胸を打つ。

ピアノがバックで流れる中、ある親子の壮絶な半生が再生されるのだがピアノの曲と相まって美しいけれど、その中ではとても言葉では説明できないような残酷な人生だったことがわかる。作品のとあるキャラクターがこの曲を作曲していく中で、この苦悩があったからこそ一つの作品として作り上げたのだと思うし彼の頭の中を観客にも同時に追体験させる意味で物語に落とし込んだのだと思うとこの映像化はよくできた作品だと思った。

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マルホランド

5.0不動の人生ベストワン映画。名作。今でも色褪せない。

2021年6月12日
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私、高度成長期生まれなんだけれども、古い日本の映画、名作と言われている、小津安二郎とか黒澤明、溝口健二とかのモノクロ作品大嫌いなんですよ。そもそも言語体系が今と違うし、粗末で地味で、とても鑑賞に耐えられない。

まあ「ゴジラ」と「飢餓海峡」は例外的に面白いし良いのだけれども。

しかしその後ドラマ化何度もされた、元祖である、加藤剛、緒形拳、丹波哲郎、加藤嘉、春田和秀の「砂の器」は別格。
昭和49年だからこそ表現できた、ジメジメして、不便で、暑苦しく、閉鎖的な日本。美しい四季の日本。

逮捕状請求の捜査会議が始まる。コンサート会場では犯人である天才音楽家のタクト指揮棒が振られ壮大な音楽が奏でられる。併せて差別され続ける悲しい親子の放浪の旅路が画面上展開される。この同時進行、カットバックの構成が情感を揺さぶり見事である。丹波哲郎はガタイも良いけど、語りも素晴らしい。加藤嘉の無理をした「こんな人知らねぇ!」と前後して映し出される緒形拳の善意の空転。イタイけれども犯人にとっては鬱陶しかったんだろなぁ。差別も含め古き日本。昭和の日本。

その後先述のとおりテレビ版何度も作られたけれども、一つもこのオリジナル映画に及ばないどころか迫らない。
無駄な捜査シーンも、最後の逮捕直前で尻切れトンボもかえって計算されていて味がある。丹波哲郎が山陰地方の列車に乗る、宍道湖の景色が背景となる。新聞を買うそこには天才音楽家の記事が・・・という構成もいかにも昭和的で素晴らしい。

ただ血まみれの服を列車の窓から塩山で処分は余計。水洗トイレか昔の黒いゴミ袋で処分すれば良い。

ただそれでも色褪せない名作。生涯映画No.1。ちなみに2番目は「シンドラーのリスト」両方ともVHS ビデオ、DVD、ブルーレイ全て買い増し。砂の器は本とDVDセットのやつも買った。ただ私リアルタイムでは当時幼児だから当然観てない。映画館で見たかった。

原作の松本清張よりも脚本の橋本忍の力量によるところ大。エゴイストの殺人であるが、やるせなさに涙すること必至。

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満塁本塁打

5.0社会派ミステリの大傑作

2021年5月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

原作も好きだけど映画版も大好き。ミステリとしても社会派ものとしても秀逸。

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yoshifuji

5.0昭和の闇、親子の光と影…

2021年5月3日
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泣ける

悲しい

難しい

間違い無く星5だろう。今の映画やドラマを考えたら星5では少ない星6か7くらいだ。
作中の隔離政策である「らい予防法」が撤廃されたのは実に1996年の事で、平成中頃までは行旅人と称される方が河川敷に居る噂が時折流れる。
決して近づいてはいけない。ヤクザなのかそれが何者なのか学生の私には判らなかった。
現在地上波ではこの日本人が歩んだ黒歴史を放送禁止としているようだ。この国は共産国ですか?w
さて物語は過酷な旅、肉親との離別で音楽の才能を開花する秀夫少年。改名し和賀英良となったが学歴も家族親族も無い彼にとって音楽家としての名声は唯一無二の武器だった。
なぜ彼は自分の武器を運命を信じられなかったのか?
秀夫少年なら父親に会っていたろう。
三流ゴシップ誌にすっぱ抜かれて世間の評価が落ちようとも闇を抱え込んだろう。だが秀夫少年の心は和賀英良の中に埋もれてしまったようだった。
闇を飲み込んだ人間は強いと聞く。
この作品を見てそれに気付く筈だ。
和賀は闇を宿して音楽を作り続けるべきだった。
その闇には愛があった。仮に再び漂泊の身と成り果てようとその才能に陰る事は無い筈だ。
だが金と名声に欲を曝け出し始めた彼にはそれが出来なかった。清廉で愚直…。
それが才能が要求する糧だった。
和賀にとって偶然手に入れた才能が道具に変わった。
残念な言い方だが…器では無かったんだ彼は。
タイトルの通り砂の器だった訳だ。

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群青ノワール

3.0現在の栄光と過去の影にまつわる哀しい性

2021年4月18日
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鑑賞方法:VOD

小説は読んだことがあったが、だいぶ前なので、ストーリーは記憶があいまいになっていたのと、映画レビューで高評価が多いので観てみた。野村芳太郎監督だと、1970年代では犬神家の一族がとてもよかったので、間違いはないだろうと。

1974年当時の時代背景なので、伝染病や放浪等といった過去も当時の設定ならではであるが、現在の栄光を手放したくないために過去の経歴を消し去ろうとして手段を選ばない人間の性、エゴを追求した松本清張ならではのテーマがこの作品にも息づいている。愛情を受けたはずが、仇で返すことになってしまった人間のエゴの哀しさ。

あとは、21歳の島田陽子の品の良さといったら!当時最高潮だったのではないか、とても美しい。1970年代の島田陽子の確実なファンです。

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菜野 灯

4.5善意や正義が人を救うとは限らない

2021年4月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

原作松本清張、脚本橋本忍ということで拝見。
終盤40分の怒涛の展開。
どう終わるのかと思っていたら一瞬で終わっていった。
日陰者が多かった時代。
戦後を生きたある世代にはもっと刺さるでしょう。
90点

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neonrg

5.0満たされぬもの

2021年2月14日
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悲しい

知的

幸せ

さて『砂の器』です
もうそうとう昔の映画で、ほとんど忘れていたような作品だったのに
一度も見たこともなかったし暗そうで何度かつまらなそうだな〜ってずっと思って遠のけていました
でも
『砂の器』
このインパクトのあるタイトルは忘れることがなく気になっていたことも事実です
やっと私にも作品の言わんとする意味や気持ちが分かる歳になったのかな
どうやらあちら側から私に近づいてきたように思えてなりません
私はかねがね、世の中の全てには「時期」がありその時期が来れば自然に出会えるのではないかと思うのです
それは人だったり物だったり音楽や映画、言葉もそうだし音や匂いも、とにかく全てが何らかの出会いのように思えてなりません
このサイトもそうだし私にくださる「いいね!」もそう感じさせるものです
この映画との出会いは古いですが観賞したのは初めてで今とてもとても深く心に刺さってきました
訳の分からないものに人は恐怖して遠のけ出来るだけ関わらぬようにしたいものです
知らないのですからね
コロナ禍で学んだことに「正しく知って怖がる」を学びました
まずは噂やデマなどでなく正しく知る努力をしなければ世間に流されて右往左往するばかりで目指す方向が定まらず集団であらぬ方向へ流されてしまいますからね

映画の話もしなければ
丹波哲郎さんと言えば私には「007」のタイガー役くらいしか記憶にないのでとても新鮮でいい役者さんなのだな〜と
森田健作さんは(笑わんでくださいよ)私の兄に驚くほどそっくりでぶったまげです(皆さんは確認不可能ですな)
映画の話はこのくらいでいいですね
『砂の器』いいタイトルです、何年も忘れずにやっと出会えた作品です。

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カルヴェロ

5.0何回見ても泣ける

2021年1月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

封切り時に見て以降、何回も見ているのだが泣ける。
ズーズー弁とカメダで前半は見せるが、後半は殆ど「宿命」のコンサートと犯人の幼い旅路が映像で語られる。
松本清張の長編ミステリーの最後を大きく膨らました、映画らしい映画。

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いやよセブン

4.5善意は時に残酷、でもそれもまた宿命かもしれない

2021年1月10日
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遅まきながら、鑑賞。テーマはハンセン病の差別、というぼんやりとしたイメージを持っていましたが、自分の全く的外れな思い込みを反省しました。
もっと大きなテーマです。人間とは、どういう生き物なのか。宿命とは何か。愛情や幸せをみんな欲しがるけれど、どれだけわかって言うのか。優生思想はいまも世の中を蝕み続ける。まず自分を見つめよ、と促されているような気がしました。

演出と役者さんの素晴らしさ、セリフなく眼で全てを物語れる子役主人公。彼の存在なくしては、成立しない作品です。映画とは何かをも教えてくれる、普遍的一本。

運命の分岐点となる田舎の巡査(緒形拳)が、わたしは印象に残りました。誰もが認める仏様のような善人。しかし社会的つまはじきの親子を救おうとした善意によって、この親子は永遠に引き裂かれてしまいます。善意とは、こんなにも危険なものなのか。今回わたしの心に刺さった棘。でも一生抜かないで、持ち続けようと思います。浮浪の親子が持っていた本物の愛情。彼らが社会的強者に勝る、最強にして唯一の財産を、巡査は悪意無き優しさで主人公から奪ってしまう。それは魂の殺人に匹敵する罪。

そして巡査は、二度も善意の罪をおかします。
失踪ののち別人となって音楽の道で自らを開花させた主人公を、なんの宿命か偶然見つけてしまい、またもや善意によって実父との再会を熱心に勧めるのです。
療養所に入った父親を、巡査は赤の他人なのに見捨てず何十年と文通します。引退した身でもなおこの親子を放っておかない。
でも。息子である主人公が、どんな思いでここまで歩いてきたか。
父と会うのを拒む、そこにどれだけ複雑な思いがあるのかを、巡査は真っ直ぐ純粋無垢で情熱のある人柄ゆえに、またもわからない。

巡査は善人夫婦、唯一欠けている点があるとしたら、子がいないことだけ、という設定です。とはいえ、全身全霊で誰にでも親身になれる、立派な人。
かたや、病という宿命を背負わされ、世間から疎まれ故郷を追われ、職もなにも持たない実父。持っているのは子だけ。巡査とは、まるで真逆。ですが実父の主人公への愛情は本物であり、人としてなにものにも変えられない、稀有な宝石をすでにこの親子は持っている。どれだけ立派な他者の善意も不要なほどの。とうてい質の違うものです。
観ていて、主人公だけでなく、この巡査もまた、砂の器なのだと気が付きました。
でもわたしは彼を責められない。巡査は巡査が持てるなりの最大級の自分を注いだ。この親子に。
それは主人公もわかっている。
しかし砂の器は、注がれたら崩れるほかありません。

たまたまお互いの人生の中で、好むと好まざるとに関わらず、ある役目を背負わされることになっている。それをまさしく宿命と呼ぶのでしょう。主人公は幼き時からずっと、あの射るような眼差しで、それを見つめ続けていたのではないか。

主人公がつくる音楽だけが、砂ではなく、本物の器として生まれました。父親の本物の愛情が、壊れない器となって、息子を通じて結実しました。しかしその昇華の恩恵に浴するのは、父ではなく、全く関係のない一般市民たちです。かつてこの親子に石を投げ蔑んだ、普通の市井の人間たちを喜ばせる役目を担う皮肉。これもまた、宿命。父子の間に流れる、強くて美しく、かなしい何かを、言葉ではなかなか言いあらわせない。

これを表現した松本清張という人があり、それを映画にできた監督や役者さんたち、凄いです。そしてこの物語をリアルにできるかどうか鍵を握っていたのは音楽でした。楽曲をつくった芥川さん達、あっぱれです。陳腐な曲ならきっと駄作になっていたはず。
人が人らしく生きていくために失ってはいけない何かを、徒労になるかもしれないが、形にして残そうとする。その魂に、人類の末席にいるわたしも震えました。

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xmasrose3105

3.0昭和の正統派ミステリー

2020年10月12日
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鑑賞方法:映画館

2018年に「祈りの幕が下りる時」という映画が上映されましたが、レビューを見ると「砂の器」の名前が挙がっているのが散見されましたので今回見ることにしました。
なるほど確かに全体のストーリーの流れや設定は確かに多少似ている個所もありましたが、個人的には別の映画だと感じました。
正直な話、ミステリーとしての面白さ、衝撃度、緊張感、切なさは「祈りの幕が下りる時」のほうが上だと思います。
ただ、46年前の映画としては非常に完成度の高い映画であると思います。
特に重厚感のある演出、音楽は良かったと思いますし、昭和世代としては昔の風景(特に鉄道)はとても懐かしかったです。
渥美清がチョイ役で出演していますが、彼が出るシーンを見ると思わず「寅さん」と口走りそうになりますね。

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canghuixing

4.0いやー、後半凄かったなー セリフほとんどなく、音楽と回想のみで気持...

2020年6月10日
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いやー、後半凄かったなー
セリフほとんどなく、音楽と回想のみで気持ちを伝えてきて
驚いた。確実に最近にはない演出で良かったし、とにかく凄かった

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おれ

0.5音楽がうるさい!!

2020年5月23日
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鑑賞方法:VOD

単純

寝られる

前半は聞き込みと晩酌の繰り返しで淡々と進行してつまらないです。それまで台詞ばかりでしたが、中盤の長めの回想シーンは台詞が無く、悲壮感のあるピアノ曲がずっと流れていて、アニメの演出のようで狙いすぎだと思いました。しかも終わったと思ったらピアノ曲がまた来るので、しつこいです。後半はずっと経歴を読み上げるだけですが、前半は必要だったのかと思いました。全編にわたって丹波哲郎の台詞読みと前述の回想シーンから察しろという同調圧力があり、感情移入を強制される作風で、好みではありませんでした。ストーリー自体は雰囲気でごまかし、事件自体印象が薄く、難病設定をぶち込んでダシにして金を稼ぎたかったというだけの安直な映画だと思います。森田健作は千葉県知事となった現在と同じで役に立たず、いない方が良い感じです。

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𝖒𝖚𝖓𝖆𝖈𝖞

5.0運命と宿命

2020年4月29日
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宿命は帰ることができない。生まれた時から背負うもの。。。親子の関係も宿命なんやなぁ。運命は変えれても宿命は変えることができない。森村誠一の「人間の証明」と重なった。どんな形であれ、親と子は深い深い絆で結ばれてるんかな?
この時期これを観て、病、感染、伝染病、差別、偏見、風評、これも昔と変わらんなと思う。ごちそうさま。

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junmomoko65

3.5乞食親子と旅路の綺麗な景色・巡査の白い制服との対比が印象的。

2020年4月25日
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鑑賞方法:VOD

地位とお金か親子の愛かがテーマ。
巡査の緒形拳とハンセン病の加藤嘉が素晴らしかった。
松本清張をよく知らない自分にはミステリーのイメージしかないが、この作品はミステリーではなく重厚な人間ドラマだ。
最後のシーンや親子の旅のシーン、温かい緒形巡査の笑顔等がとても心に残った。
女が電車で何かを切っていた所から証拠を見つける展開は無理があり残念な気持ちになったが、名作である事は間違いない。

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トラ吉

5.0悲しくも家族を思い遣る気持ちに打ち抜かれる作品

2020年4月5日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

怖い

難しい

松本清張の原作小説は実家にあったが、タイトルと親が購入したことの時代錯誤的な勝手な解釈で読んでいなかった。
自分も親ほどの年齢になり、何気に見てみようかと思い立って、アマプラで鑑賞した。
ストーリーはサスペンスの流れで進んでいくが、40年以上も前の作品ということもあり、言葉ははっきり分からず、方言も強く、現代のハリウッド映画を吹き替えで見るようにスッキリ見ることはできない。
それでも俳優の演技が素晴らしく、魅入らせる力は十分にあったと思った。
前半の物語は、刑事が犯人像を延々探し求めるが、遅々として進まないように見せている。参考になるであろうことも、結構あっさり流されていたり。しかし、その前半は残り40分への単なるステップであったかのように、恐ろしい事実が明かされていく。
これは、松本清張の代表的なサスペンス物語ではなく、時代と人間の心を捉える大きなテーマを、見る人に訴えるものだと分かった。
そして、それは俳優の素晴らしい演技がいかにその訴えを切実なものとしているかを如実に伝えていると感じた。
とてもとても大きなテーマを心に打ち付けられることとなった。

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aoironomegane

4.5圧巻の人間ドラマ

2020年4月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

松本清張氏の私の印象:例えば、時刻表を駆使した緻密なプロットが醍醐味の推理小説作家。

だが、この映画を観ると、推理の方はかなり端折っているのだろう。前半はご都合主義にも見える展開。突っ込みどころはたくさんある。その中で、地道な捜査が手掛かりを得るところが救われる。

けれど、後半、一変。ぐいぐいと迫ってくる。
子役・春田君の目力。
加藤嘉氏演じる千代吉の子を思う心。人生に・人々に諦めきった表情。
そして加藤剛氏の演技。単なる成り上がりの栄誉にしがみついているではないと思わせる、演奏会での演技。子どもを認めないのも、単に自己都合ではなく、それまでの人生を、微妙な表情で滲み出す。
まさしく”宿命”。
そんな芸達者の渾身の演技が、日本各地の映像、そこで繰り広げられる出来事、音楽と、何倍にも相乗効果を醸し出し、胸に迫る。

惜しむらくは、観光化した遍路しか知らぬ世代に、千代吉親子の生活が想像できるのか?
途中で行き倒れになる人も多かったであろう。

ハンセン病。今では治療法が確立された病。
けれど、この映画の、千代吉のころは、治療法もわからず不治の病。
村に診療所なんてないもの。
家に、村に招き入れてはいかぬ病原菌。感染させぬことが最大の防御。
自分たちが食べていくのが精いっぱいな頃。盗まれることも防がねばならない。
それだけにひどかった差別。

そんな万感の思いが押し寄せてくる。

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とみいじょん