「捜査の中で人物が浮かび上がる」砂の器 まままさんの映画レビュー(感想・評価)
捜査の中で人物が浮かび上がる
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「ある男」と同じ構成、と思ったら実際「ある男」は「砂の器」を意識していたよう。
のんびりと全国を観光するかのような捜査ののちに、徐々に被害者や加害者の人物像が浮かび上がってくる
捜査はかなりのんびり描かれていて、電車から服を散り散りに切って飛ばすのを新聞のコラムで偶然見つける、なんてのは正直嘘くさくてうーんとなる
犯人の指揮者は、父との縁も切るし、不倫相手の子供も認めない
犯人にとっての父と子の関係は一概には断言できないような複雑なところがある
映像と音楽で描かれる親子の旅路は確かに父と子の関係を強く結びつけ、同時に父の受ける差別をそのままに子にも与えている
じゃあそこに不用意な善意で踏み込んだ被害者が、果たして押し付けがましい偽善者だったのかというと、そこも難しい
少なくとも差別者よりはましだったわけで、殺されてしまったのは気の毒
ただまあそういう善意の鬱陶しい部分もあるよなあとは思いつつ
けど、じゃあハンセン病患者を差別するでも手助けするでもなく、傍観するのが良かったのかと問われればそうでもないわけで
どうしようもない根深い問題がそこに残る
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momokichiさんのコメント
2024年7月15日
>じゃあハンセン病患者を差別するでも手助けするでもなく、傍観するのが良かったのかと問われればそうでもないわけで
ほんとそうですよね。「こうしとけば大丈夫」という単純なものではない、ということなんでしょうね。
それにしても駐在さんの三木さん(緒形拳)が気の毒でした。