「「宿命」」砂の器 マルホランドさんの映画レビュー(感想・評価)
「宿命」
物語の真相が明らかになるシーンで「宿命」という題名の曲が独奏されるが、そこは小説では表現しきれないくらい胸が痛くなるシーンの連続だった。
小説は当然文字だけで表現される。想像を掻き立てられるがそれを文字で説明されてしまうので読み進めるほかないのだが、小説を映像化するにあたってそれをセリフではなく映像で説明する力量がとても胸を打つ。
ピアノがバックで流れる中、ある親子の壮絶な半生が再生されるのだがピアノの曲と相まって美しいけれど、その中ではとても言葉では説明できないような残酷な人生だったことがわかる。作品のとあるキャラクターがこの曲を作曲していく中で、この苦悩があったからこそ一つの作品として作り上げたのだと思うし彼の頭の中を観客にも同時に追体験させる意味で物語に落とし込んだのだと思うとこの映像化はよくできた作品だと思った。
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