洲崎パラダイス 赤信号のレビュー・感想・評価
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赤信号?正に青信号じゃ!!
紐にもなりきれない馬鹿な男の話
紐にしきれない余り賢明でない女の話
時は赤線防止法が施行される前夜。
さて、何を言いたいのか?
まぁ、どちらにしても元の鞘に戻れるなら、いいのではないか?
ただのすれ違い映画なり。溝口健二監督の赤線に対する考え方とは全く違うような気がする。寧ろ、おざなりにしてしまった赤線防止法が現代の闇を作っている様な気がする。勿論、洲崎にはその姿はないが、形を変えて全国各地に星の数程存在する。勿論、表看板では売春防止法に抵触する行為はしてはいない。さて。
秋葉原の『万世橋』くらいしか分からないかなぁ。
両国の水上バスの発着場が出てきたが、隅田川はまだまだきれいなようだ。つまり、この後、エコノミックアニマルと言われる程、日本はぶっ壊れるのだ。ストーリーは陽気に終わるが、日本人にとっては、戦争に敗けて約十年。やっとこさ平和になったと思ったが。実は艱難辛苦の再出発の様な時期なのだと思う。そして、結果、絶滅危惧種になってしまったのだ。登場する子供達は正に団塊の世代。
カッコ悪く足掻く主人公の姿に、監督自身の姿が重ねられている様な
川島雄三 監督による1956年製作の日本映画。配給:日活。
川島監督作視聴の第2弾。古い白黒映画ながら、作家性が満載でかなり気に入った。
今はほぼ完全に消えてしまった洲崎遊郭(江東区東陽町1丁目周辺に在ったらしい)、その入口にある飲み屋「千草」を舞台とする。
主人公は定職持たず稼ぎも無く冴えない青年三橋達也と、その恋人で元洲崎遊郭の娼婦新珠三千代。あの三橋達也が、去って行ってしまった恋人を探し回って路頭に倒れ込む。監督の心情反映か、世を拗ねた様で暗くイジイジとして嫉妬深くカッコ悪いのが、印象に残る。
飲み屋で雇われた新珠はラジオ店の店主河津清三郎に見染められ愛人となり神田に越すが、そこに飽き足りず、結局三橋の元に戻ってくる。三橋も勤めていた蕎麦屋で働く可憐な芦川いづみと世帯持つことを飲み屋女将は望むが,結局新珠を選ぶ。
別れたりくっついたり男女の腐れ縁を描いていて,何処かフランス映画風。主人公に、撮影所前の食堂に入り浸りそこの娘と縁談話が持ち上がったが断わり、家を持たず行きつけの宿を家替わりに泊まり歩いていて小料理屋で働く女性に惚れこみ同棲したという川島監督の姿が重なる。
監督川島雄三、脚色井手俊郎、 寺田信義、原作芝木好子『洲崎パラダイス』、製作坂上静翁、撮影高村倉太郎、美術中村公彦、音楽真鍋理一郎、録音橋本文雄、照明大西美津男、助監督今村昌平。
出演 新珠三千代蔦枝、三橋達也義治、轟夕起子お徳、植村謙二郎伝七、平沼徹和男、
松本薫良男、芦川いづみ玉子、牧真介信夫、津田朝子初江、河津清三郎落合、加藤義朗落合の店員、冬木京三そば屋の主人、小沢昭一三吉、田中筆子廓の四十女、山田禅一大工風の男、菊野明子女、桂典子女中志願の女、加藤温子バスの車掌、隅田恵子伝七の女。
橋の向こうとこちら側
Amazon Prime Videoで鑑賞。
どうしようもない男女ふたり。行き場を無くして洲崎パラダイスと云う繁華街へ繋がる橋の袂へ流れ着きました。橋の向こう側には遊郭もあって、一度足を踏み入れると堅気じゃなくなってしまう異空間のようで…。まるであの世とこの世の境目みたいな、洲崎パラダイスの入口に架かる橋の側に佇む小さな酒場を舞台に、男女の彷徨を描いた川島雄三監督の名作。
三橋達也演じる義治は働こうともせず完全なヒモ状態。女に食わせてもらってるくせに、商売で他の男の相手をしていると妬いてしまう狭い度量の持ち主と云う情けなさ…
新珠三千代演じる蔦枝は、そんな甲斐性無しの男でも、見捨てるに見捨てられないのでした。歯痒いくらいの愛がそこにはあって、ズブズブと関係を続けていました。
ふたりが世話になった酒場の女将も、自分と子供たちを置いて女と逃げた亭主に対して、半ば愛想を尽かしながらも、それでもまだ愛していて、帰って来るのを待っている…
互いに必要としていて離れることが出来ない。振り切っても結局未練たらたらで磁石みたいに引き合って元通り。それが愛のどうしようもない正体かもしれないなと思いました。
※修正(2023/01/22)
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