劇場公開日 1974年6月29日

「【”つまらん連中が上に立ったから、下の者が血を流した。””わしらの時代は終わった・・。”と広能は言って引退を決めた。昭和21年~45年の広島ヤクザ抗争史を描いた稀有なシリーズの掉尾を飾る作品。】」仁義なき戦い 完結篇 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”つまらん連中が上に立ったから、下の者が血を流した。””わしらの時代は終わった・・。”と広能は言って引退を決めた。昭和21年~45年の広島ヤクザ抗争史を描いた稀有なシリーズの掉尾を飾る作品。】

2021年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

◆今更ながらの、このシリーズの魅力

 ・ヤクザを、決してヒロイズム的に描いていない事。
 ー 従来の任侠映画の様式美を、蹴散らしている事。ー

 ・ヤクザ同士の抗争が、如何に愚かしい事かを、殺された遺族の姿、葬儀をきちんと描いている事で表現している所。

 ・広能(菅原文太)の実力は、誰もが認めているが、彼は広島ヤクザのトップに立とうとはしない姿勢を貫くところ。

 ・山村(金子信雄)を筆頭にした、愚かしきトップの人間の醜さを露わに描いている事。
ー この、狸親父は、経営者として成功し、生き残る。金子信雄が、山村の品性の無さ、強かさを見事に演じている。ー

 ・ヤクザ同士の裏切り、謀略・・・、をキチンと描いている事。

 ・”仁義なき戦いのテーマ”の、素晴らしさ。
 ー このテーマを聴いた事のない人が、いるのであろうか?ー

 ・襲撃の際の映像は、手持ちカメラでブレながらも、キチンと捉えてド迫力の映像になっている事。

 ■当たり前であるが、菅原文太さんの演技が、素晴らしすぎる事。
  そして、多くのサブキャラクターが魅力的である事。

 ・昭和の映画スターたちが、違う役柄で数回出ている所も、オモシロイ。
 ー 松方弘樹さん、梅宮達夫さん、北大路欣也さん・・。ー

<今作のラストで、広能は、自分より二回り下の鉄砲玉の死を見て、引退を決意する。
 だが、暴対法が施行されるのは、これより20年近く後なのである・・。
 資料によると、このシリーズは前作で終了する筈だったが、大ヒットにより、今作が製作されたとの事。
 第一作から脚本を手掛けた笠原和夫氏の綿密な構成と、見る側にとっては印象的な広島弁の応酬。今作は、笠原氏は脚本を受けなかったが、全体としては高い熱量を維持した作品群である。
 僅か、一年半で、シリーズ五作品を作り上げた制作陣の熱量も、凄い。
 このシリーズが、邦画の歴史に刻まれる、金字塔シリーズである事は、間違いないのである。>

NOBU