「永遠の学生運動家・山本圭」新幹線大爆破(1975) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の学生運動家・山本圭
列車が通常以上の速度になるとATCが作動するという新幹線。最初に司令室の模様が映し出され、説明されるという親切設計。爆弾犯人(高倉健)から電話があったとき、国鉄関係者が「またか・・・」と皆つぶやくところが時代を反映しているのか、面白い。
まずは爆弾に信憑性を持たせるため夕張の貨物車を爆破。そして、司令室の宇津井健と運転士の千葉真一のタッグにて浜松付近の故障車両の危機を乗り越える。この序盤で手に汗握ってしまう・・・当面は120kmで走行して博多までの8時間のリミット。
夕張の証拠品によって簡単に学生運動あがりの山本圭が容疑者だと判明する。新幹線内は名古屋駅を素通りしたことでパニック状態。一方、500万ドルの受け渡しには最初は失敗。犯人の一人が警察に追われバイクで激突死・・・山本圭も偶然見つかり射撃され重傷。いちかばちかで健さんが一人受け渡しを実行する。成功して金を手に入れたため、爆弾を仕掛けた図面を渡す手筈を整えたのに、その置き場所の喫茶店が火事になって焼失・・・そこまでやるか。
写真撮影によって爆弾位置を知り、専門家の推測で取り外そうとするクライマックス。救援用新幹線で溶接機を渡すなんてのはバカバカしいけどスリル満点。なんと救援車の運転士は千葉治郎じゃないですか!兄弟で助け合うなんて感動的・・・かな。しかし、成功したと思ったらもう1個の爆弾らしき写真が出てきて・・・
工業地帯などを避けて“ゼロ地点”なんてのを設ける政府。そして、停車を決断する司令室の宇津井健。1500人の命を預かる重責のため異常なまでの発汗。最近では「テロとは交渉しない」なんて言葉を上が吐くくらいだし、このストーリーの決断はかなりいい出来。そして、犯人側のドラマチックな部分を見事に描いていることも称賛すべきだと思う。特に沖縄から集団就職して会社がつぶれ、血液を売ってフラフラになってるところを高倉健に拾われたエピソード。俺は好きだ。ラストシーンは70年代の流行だな。『野性の証明』にもつながるし・・・
喫茶店の炎上とか、川下りでの受け渡し中に柔道部員・・・これがなければ満点。あと、ダイナマイトを売った藤尾って男も存在価値がなかった。