「モノクロームが映える映画」白い巨塔(1966) 抹茶さんの映画レビュー(感想・評価)
モノクロームが映える映画
現実の世界は複雑なグラデーションをなしていて、物事を単純に白と黒では分け切れない。しかし、人間の社会では事実を解剖し切り分け、白黒をはっきり決さなければならない時がある。
病院では白衣姿の医師達が、己の出世と保身のために白衣を脱ぎスーツを着てバーとお座敷を掛け持ち。金と権力を用いた策謀を巡らせる。一進一退の攻防が繰り広げられる中で、男たちの陰に描かれる女達、派閥争いに巻き込まれていく者達の描写が印象的だった。
判決の決め手となる証言は、被告・財前五郎に対して否定と肯定を含んだものだった。
証言の後にカメラはゆっくりと法廷に並んだ人物の顔をなめていく。皆それぞれが様々の表情を見せており、見事なグラデーションをなしていた。
いえいえ、共感なんておこがましく、「参考になった」はなぜないのかと忸怩たる思いでいつもクリックしております。
この頃の日本映画を見始めたのが本当にごく最近でして、すっかりハマってしまい、新しい鉱脈を見つけたような心持です。
「張込み」も橋本忍の脚本でしたね。お恥ずかしながら原作は未読でして、我が国において松本清張、横溝正史、山崎豊子を読んだことがないというのは、出る所へ出れば有罪判決は免れ得ませんので、そろそろ原作にもあたろうかと考えております。(余談ですが、川島雄三の「洲崎パラダイス」の原作が最近、ちくま文庫から発行されていましたので購入致しました。)
抹茶さん、「張込み」への共感ありがとうございます。抹茶さんがレビューされてる日本映画の名作群のラインナップを見ているとワクワクしますね‼️この「白い巨塔」も原作的に言ったら途中で終わってるんですけれども、そこがかえって悪の台頭みたいでシビレます‼️