不知火小憎評判記 鳴門飛脚
劇場公開日:1958年9月16日
解説
大川橋蔵が義賊・不知火新三に扮して活躍する明朗時代劇で、「佳人」の棚田吾郎の脚本を、「怪猫からくり天井」の深田金之助が監督し、「大岡政談 幽霊八十八夜」の伊藤武夫が撮影した。出演者は橋蔵のほかに、「剣は知っていた 紅顔無双流」の花園ひろみ、「殿さま弥次喜多 怪談道中」の雪代敬子。さらに大河内傳次郎・柳永二郎などが助演している。
1958年製作/86分/日本
原題または英題:Courier over the Rough Sea
劇場公開日:1958年9月16日
ストーリー
昔、勇名を馳せた目明し常吉の娘お豊は捕物小町と噂も高い。父の代参で川島大師へお詣りした途中、粋な旅人から付文された。読んでみると、女だてらに捕物など笑止の沙汰という意味が書いてあり、署名はしらぬ火。不知火小僧といえば当時江戸を騒がした義賊で、悪大名や強欲商人から奪った金品を貧乏人にやってしまう。その上役者顔負けのいい男だという。人一倍勝気なお豊は彼を捕えようと決心、乾分の鉄蔵をつれ、不知火を追って旅に出た。一方、不知火小僧新三は、思わぬことから阿波藩大阪蔵屋敷の武士たちと金貸し阿波屋万右衛門との間の争いにまき込まれ、殺された阿波屋の番頭彦七の遺児お夏を万右衛門に引渡すはめになった。蔵屋敷の侍たちは彦七を殺して、借金の証文と阿波の藍玉売りの権利書を奪い、万右衛門からの借金を帳消しにした上、権利書を他の商人に売りつけようと企んでいたのだ。だが万右衛門は己れの利害にのみはしり、お夏を顧みようともしない。腹を立てた新三は、お夏のために書附を奪還しようと決心する。その頃お豊は、彼女に横恋慕する鉄蔵に肘鉄をくわせて別れ、一人旅のあげく悪雲助に襲われ、あわやというところを偶然にも新三に救われた。こうして新三、お夏、お豊の三人旅がはじまるが新三に惚れて江戸から彼を追ってきた巾着切のお六は甚だ面白くない。仲間の道中師たちと謀り、新三の向うを張って阿波藩士の懐を狙い出した。両者入乱れての争奪戦の末、この書附がまっかな偽ものだと分る。本ものはお夏の身辺にかくされていたのだ。この騒ぎの最中、お夏とお豊は阿波屋敷に連れ去られた。新三は彼の義侠に惚れ込んで協力することになった道中師たちと図り、お夏・お豊と書附まで奪い返した。それを渡された万右衛門は物欲の権化たる本性を現わし、お夏に金子をつけて阿波へやる約束もやぶり、その上、町奉行へ新三の兇状を訴え出た。憤った新三はお夏をつれ、御用提灯のとりまく中を阿波へ向って船出した。お豊は別離の悲しみをこらえ、二人の船を見送った。