女性の勝利(1946)
劇場公開日:1946年4月18日
解説
「名刀美女丸」に次いで溝口健二監督が大船撮影所で製作せる作品。
1946年製作/84分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1946年4月18日
ストーリー
自由主義陣営の評論家山岡敬太は終戦と共に獄舎から釈放されたが五年間にわたる獄中生活は心身を再起不能にし彼は獄舎から直ちに病院へという惨めな姿であった。この敬太を温かく迎えたのはかっての彼の愛人女弁護士細川ひろ子であった。この二人の恋愛再燃を最も恐れたのはひろ子の姉みち子であり、牢固たる封建思想の持ち主であるその良人河野検事であった。司法の民主化が叫ばれその運動が活発化するに従って弁護師団は河野検事を粛正の第一位に擬しその機会を狙っていた。ひろ子は女学校時代の同窓生朝倉もとが貧窮のドン底にあって良人に死なれ悲嘆のあまり精神錯乱を起こして愛児を死に至らした事件の公判にもとの弁護士として立ち図らずも河野検事と対決、河野検事は被告が母としての責任を回避し女の道をふみした非倫行為なりとし懲役五年を求刑したのに対し日本の封建的家族生活の欠陥を指摘、日本の全女性があまりにも男性依存の精神に培われた結果一度良人という支柱を失えばたちまち苦境に陥入ると説破、この事件は日本社会の罪なりとして無罪を主張、同時に女性の男性従属よりの覚醒を叫んだ。この公判半ばに敬太はひろ子の勝訴を希いながら死んだ。ひろ子はこの悲報にもめげず女性解放の信念を貫くべくもとの第二回公判廷へと力強く歩んで行った。