天草四郎時貞のレビュー・感想・評価
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細かい分裂とそれを乗り越えていく粘り強い論理
1962年。大島渚監督。天草の乱がいかに引き起こされ、どのような経緯を経て原城籠城へと至るか。キリシタンと非キリシタン、武士と農民、男と女、支配者側と反乱側などの大きな対立だけでなく、キリシタンを裏切って密告するものの真実の絵を描くことという別の価値観で切る絵師とか、反乱を先導したものの非キリシタンであり勝利をもとめない籠城に反対する浪人とか、支配者側にありながらも四郎と友情を保ち続けつつて反乱に加わりつつ、妻と四郎との関係への疑いをぬぐいきれない武士とか、細かい差異がていねいに描き分けれられる。宗教的な真理の追究すること、支配者の圧政を終わらせること、苦しい生活を逃れること、など複数の目的間の葛藤と衝突を経ながら、それぞれが生き方を選んでいく。
みまがうことのない大島監督の「霧」と「討論」の映画。
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