「日本人が失った心の記録」昭和残侠伝 k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人が失った心の記録
これまで、ヤクザ物はあまり肌に合わず、ほとんど見てこなかった。以前高倉健主演の任侠物を観た時、健さんはやっぱりスゴイと心から思ったものの、それ以降任侠物にはあまり手をつけることはなかった。
しかし、今の時代、この作品を観ると、日本人というものの、心のディープさを、本当に深いレベルで感じることができた。
現代の我々日本人が失いつつあるもの。本当に重要な、日本人としての核心のようなものを作品として残してくれている。そういう先人への感謝の気持ちが強く沸き起こった。
この作品が製作された時代、先の戦争から生き延びた、多くの日本人達が、こういった作品を通して、あの戦争で散った戦友達のこととシンクロさせて、大いに共感を集めたことが想像される。恐らく、深いところではそういう男たちの心の深層を代弁する形でこういった作品が作られたことであろうと思う。
よくよく考えてみると、昭和40年代くらいまでは、日本人の一般的なメンタリティーはこんな感じだったんだろうと思う。たかだか50年くらいで随分日本人の価値観も変わったものだ。
外国から軽んじられている昨近、こういったラジカルさとか、命知らずの男気というものは、日本人として、改めて考えるべき時にあるような気がする。
今後、健さんの任侠シリーズを観ていきたい。
男が観ていてクラクラするほどの男なんて、今の時代いないんじゃないか。高倉健がそういう俳優だと痛感した。
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