首都消失のレビュー・感想・評価
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雲をこじ開けろ!
バブル全盛期に入るのだろうか、なんともいい加減な脚本、また製作。原因究明よりも、その後の展開が面白いはずなんだろうけど、ソ連の艦隊も日本に向ってるとか、冷戦時代末期の危機感をあおるような描写もあったため、どことなくのめり込めない作品に仕上がってしまった。シングルマザーのアナウンサーが取材者魂を燃やして一人現場に立ち向かう姿と、その彼女といい関係にあったテレビ局員の山下真司が中心で、そこへ電機会社部長の渡瀬恒彦が割り込んでくる三角関係のドラマもメイン。まぁ、それが面白ければいいのに、面白くないんだなぁ・・・
雲に覆われた東京の描写が全く無いというのも斬新なんだろうけど、何人の人が亡くなっているのかもわからない。最後には北斗電機の技術力で雲をこじあける(?)形で結末を迎えるのだが、そのハッピーエンディングの爽快感さえ無いのだ。もちろん、この後の兵庫淡路大震災や東北の震災を経験した日本人にとってみればディザスター感が皆無に思えるんだろうけど・・・
ただ、雲の縁で作戦を練ってる横でお祭り騒ぎになっていたり、バンド演奏してたりする描写は面白い。この身勝手な人たちをもっとメインにすれば社会派ともとれる内容になっていたのにな~
ミステリードーム
危機になると政界のフィクサーが出てきたり国際情勢を書き添えるのは小松左京さんらしい。
ベルリンの壁崩壊前だから米ソ冷戦末期、今なら虎視眈々は中国軍だろう。
厚木の電気メーカーと言えばSONYだと誰もがわかる、当時は日本を代表する大企業だったから分からんでもないが国難に立ち向かうのだからもう少しオールジャパンのスケール感が欲しかった。謎のミステリードームも訳が分からんまま、スモークの中でブルーライトが光るだけで安手のホラー映画のよう。ドームの周りではクリスチャンのシスターやら日蓮宗の団扇太鼓を持った連中が祈りを捧げる、クライマックスは磁力砲での決死の突撃や台風襲来という神風の功もあり消滅、なんとも日本らしい。人間ドラマも出来の悪い昼メロ並み、ワザといエピソードや演出は観ている方が恥ずかしくなる。俳優、製作陣の懸命さは分かるのだがこの空回り感は何なのだろう、時代なのかセンスの問題なのだろうか・・。
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