劇場公開日 1991年12月14日

「日本が誇るワンシチュエーションコメディの傑作」12人の優しい日本人 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本が誇るワンシチュエーションコメディの傑作

2024年5月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

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3度目の鑑賞

監督は『櫻の園』『コンセント』『落語娘』の中原俊
脚本は『ラヂオの時間』『みんなのいえ』『竜馬の妻とその夫と愛人』『笑の大学』『THE 有頂天ホテル』『ステキな金縛り』『清須会議』『大空港2013』『ギャラクシー街道』『記憶にございません!』の三谷幸喜

日本にもしも陪審員制度が導入されたらという設定を元に制作され1991年に公開された作品
『12人の怒れる男 』のパロディ
アメリカの陪審員制度は有罪無罪を決めるのでなくて量刑を決めるものだと聞いているが州によってもいろいろと全く違うので自信はない

路上で妻が夫を突き飛ばして夫はトラックに轢かれ亡くなった案件を陪審員たちが徹底的に議論する

個人的には山下容莉枝が演じた陪審員8号が好き
10号の鼻血を指摘するシーンはなぜか1番はっきり覚えていた

今から30数年前の作品
当然だけど塩見三省若いなあ
メンバーの中で1番それを感じた

なかなかストレスを感じる
特に相島一之演じた陪審員2号と村松克己が演じた陪審員9号の2人
それもあるがそもそも議論が苦手なせいだろう
共感能力がかなり乏しいし
若い頃はもっと楽しめたが
加齢に伴うものか残念である

裁判員制度が導入されてもうすぐで20年経つ
そんな今この作品をリメイクした映画が上映されるとしたら実物に痩せるため今作品とは別物になるだろう
『東京原発』同様あの時代だからこそ成立するものなんだろう

裁判員制度が導入された数年前に村松克己は胃癌のため残念ながら亡くなっている
どちらかといえば嫌な役だが声は1番良かった
30数年経った今でも村松克己以外のみなさんは健在のため彼はあまりにも早死にといえる

配役
今回陪審員長を務める陪審員1号(女子高体育教師)に塩見三省
妻と別居中が影響したのか最も有罪に拘り続ける陪審員2号(精密機械製造会社従業員)に相島一之
甘党アル中で議論が苦手な陪審員3号(喫茶店店主)に上田耕一
なんとなく無罪を最後まで変えなかった陪審員4号(元信用金庫職員)に二瓶鮫一
公判の内容をメモしている陪審員5号(商社庶務係)に中村まり子
話し合いがが嫌いためかやる気がない陪審員6号(医薬品会社セールスマン)に大河内浩
無罪を最後まで変えなかったべらんめえ口調の陪審員7号(職人)に梶原善
他人の意見に流されやすい陪審員8号(主婦)に山下容莉枝
議論好きな自信家の陪審員9号(開業歯科医)に村松克己
純真で気弱で鼻血を出してしまう陪審員10号(クリーニング店経営者)に林美智子
最初は議論に参加しなかった陪審員11号(俳優)に豊川悦司
仕切りたがりの陪審員12号(大手スーパー課長補佐)に加藤善博
守衛に久保晶
ピザ屋の配達員に近藤芳正

野川新栄