集団左遷
劇場公開日:1994年10月29日
解説
リストラによって会社に見限られたサラリーマンたちが、意地とプライドを賭けて危機に立ち向かっていく姿を描いた人間ドラマ。江波戸俊夫の同名小説(世界文化社・刊)を原作に、「修羅場の人間学」の梶間俊一が監督。脚本は「ラストソング」の野沢尚、撮影は「横浜ばっくれ隊」の鈴木達夫が担当。
1994年製作/107分/日本
配給:東映
劇場公開日:1994年10月29日
ストーリー
バブル絶頂期に抱えた大量の不動産物権並びに余剰人員により企業経営の危機に瀕していた太陽不動産では、副社長である横山の提案により、大胆なリストラ計画が実行された。《首都圏特販部》という新規事業部を創設、そこに50人の余剰人員を送り込み、達成不可能な販売目標を課して人員削減を図ろうというものである。本部長にと横山から名指しされたのは、かつて横山の目にあまる不正を直訴しようとしたが揉み消された経歴を持つ篠田洋。その他、バブル期には活躍したがトラブルを抱え、総務部へ左遷されていた滝川、娘の結婚を控え退職間近の花沢、妻の癌を機に家庭人間となった柳町らが送り込まれた。その中でかつて横山の愛人だったという今村春子だけが唯一、自ら進んでやって来ていた。いったんは退職を考えた篠田は本来の仕事に目覚め滝川らと共に攻勢に転じるが、営業予算も宣伝費もゼロ、おまけに横山とその一派の執拗な嫌がらせに合い、秘かに情報も漏れて契約寸前の仕事を横取りされたりと、業績は一向に上がらない。だが、滝川が元恋人だった住宅情報誌の編集長・原俊子に頼んで書いてもらった記事により、特販部が″左遷集団″としてセンセーショナルに扱われたことで逆に世間の注目を浴び、特販部内は活気づいていく。滝川は大型ディスカウント店チェーンのオーナー・藤尾に接近し倉庫と社員寮の契約を進めていくが、娘の将来のためにと横山のスパイとなっていた花沢が、社員寮として契約してもらおうとしていた厚木の分譲地に火を点けてしまい、篠田の必死の消火も空しく20戸のうち5戸が消失してしまう。事情を知った滝川は自分の過ちに気づいた花沢を連れ藤尾の元を訪ね、何とか契約にこぎつけることが出来たが、目標の売上には結局届かなかった。予定通り特販部員の首切りを主張する横山に対し、篠田は会社再建には特販部のような社員こそ必要で、自分の利益のみを考える役員こそ解任すべきだと主張。春子の証言により横山の数々の不正も遂に白日のもとに晒され、横山派は一掃される。それは社長や、親会社の意向でもあった。名誉を賭けた戦いは篠田らの勝利に終わった。