獣人雪男

劇場公開日:

解説

「ゴジラの逆襲」の村田武雄の脚本を、「おえんさん」の本多猪四郎が監督、同じく飯村正が撮影する。音楽は「新鞍馬天狗 夕立の武士」の佐藤勝の担当。出演者は「新鞍馬天狗 夕立の武士」の宝田明、「33号車応答なし」の河内桃子、「あすなろ物語」の根岸明美など。

1955年製作/94分/日本
原題または英題:The Snowman
配給:東宝
劇場公開日:1955年8月14日

ストーリー

K大山岳部員は、アルプス山峡へ雪男探検のためにやって来ていた。ある夜、疲れ果てた一同がまどろみ始めたころ、不気味な半人半獣の影が見え、これを見つけた道子の悲鳴に飛び起きた飯島は、威嚇の一発を放って遮二無二追いかけたが、何時の間にか方向を見失ってしまい、不運にも、雪男を生捕って一儲けを企んだ大場の一行につかまり崖下に蹴落されてしまった。飯島が我に返ったとき、十軒ばかりの粗末な集落の山小屋でチカという娘に介抱されていた。この集落は雪男を守り神とする里の人が謎の集落と呼んでいる原住民の集落であった。そして飯島は断崖に藤蔓で吊し下げられ、あわやという時、ぬっと現れた雪男が彼を引き上げ興味なさそうに捨てて去って行った。おかげで命拾いした飯島は、どうにか探検隊の一行に救い出された。一方大場とその配下は、飯島に心惹かれるチカを利用して雪男の住む洞くつに案内させ、薬品の力で昏倒させ雪男を生捕ったが、その時大場の銃は雪男の子供を倒してしまった。怒りに燃えた雪男は大場もろともトラックを谷間へ投げ飛ばしたが、今や人間に対する復讐の鬼と化しK大探検隊のキャンプに突進し、道子をさらって行った。一行は噴火口の傍まで雪男を追ったが、道子を抱えているので銃を打つこともできない。この時チカは山刀を扱いて雪男に近寄ったので、雪男は道子を放り出してチカに向かった。その瞬間、信介の一弾は雪男の胸を貫いた。凄じい形相の雪男は、チカを抱きしめると、噴火口に飛び込んで行った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5特撮ファンが、観れないからこそ観たくなる作品というのが妥当な評価だと思います

2023年3月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1955年8月公開、東宝、白黒作品

製作は田中友幸
本編監督は本多猪四郎
特撮は円谷英二
主演は宝田明
ヒロインは河内桃子
音楽こそ伊福部昭ではありませんが、ほとんど正統なる東宝特撮映画の構えです

同年4月公開の「ゴジラの逆襲」の次の特撮映画でした
怪獣映画の系譜というより、どちらかというと1954年の「透明人間」、1958年の「美女と液体人間」の間に位置付けられる映画だと思います
巨大生物の驚異ではなく、ほぼ等身大の謎の生き物の登場とそれを取り巻く人間ドラマなのですから

それなのに黒歴史
ソフト化も配信もなし
まともに観賞できる機会は今ではほとんどありません
ごく稀に劇場で公開されることがあるという程度です

理由は今で言うところのコンプライアンス問題です
恐らくは山の部落の登場が問題視されているのだと思われます

舞台が日本だから問題視された?
ならば舞台がヒマラヤだったなら良いの?
雪男でなくて南海の孤島で巨大な猿を生け捕りする話だったなら、島の原住民は良いの?
それらがコンプラ的に問題なくて、本作は問題になるのでしょうか?
不思議なことです

座頭市では差別用語がそのまま台詞で使われたままソフト化されています
なにかおかしなことです
そろそろ見直して断り書きを入れるなどしてソフト化されても良いのではないでしょうか?

本編は日本アルプスで長期ロケをしただけのことはある映像が撮れています
とは言え、あまり面白い映画でもなくスカッともしません
特撮もさすが円谷英二というようなものはありません
そもそもなんの発展性もない企画だということです

なのでどうしても観なくてはならない作品とは言い難いです

特撮ファンが、観れないからこそ観たくなる作品というのが妥当な評価だと思います

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あき240

4.0とある山岳部と学者が語る夢幻の体験談...  山奥の秘境に生きる部落民と彼らが崇める獣人のユートピアは俗世との好奇心の相克ゆえに瓦解する...

2023年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 あのレジェンド作品である初代『ゴジラ』、そして『透明人間』『ゴジラの逆襲』に続く、戦後の東宝特撮第4作ということでネームバリューは十分なものの「表現上の諸問題」を理由にソフト化されず特撮関連書籍からもその存在を抹消されている問題作。
 件の獣人雪男のサイズがせいぜい2,3mぐらいなので怪獣映画としてはスケールの面で不適格ではありますが、一方でビジュアル的に被りそうな『キングコング』とは明確に差別化された画作りとなっており、さらには"生存者が後に証言者として事件の顛末を語る"という構図は後の『マタンゴ』にも通づるようなプロットながらも相手がいわゆるUMAゆえに民俗学的な雰囲気も漂い、数ある東宝特撮映画の中でも怪獣映画でもなく変身人間ものでもない異彩を放っている作品でした。
 巨大生物でも異形の人間でもない人の亜種、という特異な題材を用いつつも独自の特撮の見どころを盛り込みつつ、滅びゆくマイノリティーの悲哀も描いたなかなかの意欲作でした。
 しかしながらも上述の通り、異文化交流の相克と相互理解の難しさが中途半端になり、特に後半はチカを演じる根岸明美さんの妖艶なおみ足という即物的な見せ場の確保に走ってしまったのは拙速に感じつつも、一方でなるほどこの時期の娯楽映画ならでは、とも感じてしまいました。
 手軽に家では視聴できないものの、人気作だけに各地の名画座でちょくちょく上映の機会は有るので、気になった方はアンテナを張っておいていただけるとよろしいかと思います。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

5.0嗚呼無残!秘境に木霊す悲痛な叫び!

2020年2月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

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しゅうへい