上海帰りのリル

劇場公開日:

解説

新東宝、総芸プロの共同作品で、製作は「右門捕物帖 緋鹿の子異変」の竹中美弘が担当、雑誌婦人倶楽部所載の藤田澄子の原作から、椎名文と「ある夜の出來事」の監督島耕二とが共同で脚色、撮影は「大空の誓い」の三村明。出演者の主なものは「犬姫様」の水島道太郎、「朝の波紋」の香川京子(二役)「西鶴一代女」の浜田百合子、「息子の花嫁」の森繁久彌の他、見明凡太朗、有木山太、特別出演の歌手津村謙、胡美芳などである。

1952年製作/85分/日本
劇場公開日:1952年4月4日

ストーリー

横浜の丘の上のキャバレー、クリフサイド・クラブからは今日もバンド・マネージャー岡村のタクトに乗って「上海帰りのリル」のメロディーが流れる。岡村は上海のクリフサイド・クラブのバンドで働いていたとき、船会社に勤める山本謙吉という親友と同居していた。ある夜謙吉がクラブのダンサー、竹本リルを暴力団の田代から救ってやったことから、純真なリルをなかに、岡村と謙吉との三人の温い友情がそだてられた。しかし終戦前後のどさくさはリルの姿をこの二人からひき離してしまった。謙吉は日本へ帰ってからはとにかく金をつかむべきだと、人が変わったように闇商売の荒かせぎをはじめたが、しかしその脳裏を去らないのはリルの姿だった。上海時代のりるの友達村井紀子は、そうした間に謙吉に近づき、彼にひきつけられて行ったが、謙吉はついにリルをしのぶあまり、無理な金を作って横浜の丘の上に上海のクリフサイド・クラブを再現した。そして岡村を招いてその協力を得ることになった。しかしリルの行方は一向にわからぬまま、資金の徴達に出した乾分の二郎が、金を持ち逃げしてしまった。間もなくその二郎が捕らえられたが、彼は鈴木克子という愛人と堅気の世帯が持ちたくて金を持って逃げたという。その克子が、リルに生写しなのだった。謙吉はその克子に免じて、二郎を許し、金まで与えた。クラブの建築費が遅れているのに乗じて悪の顔役野村一味はクラブの乗取りを策し、ついに拳銃沙汰になって謙吉はその凶弾に倒れた。意識を失った謙吉の口からただリルの名だけが洩れるのをきいた紀子は思わず拳銃をとりあげて謙吉の躯に弾丸を打ち込み、残る一発で彼女は自分の命をも絶った。そうした思い出をこめて岡村のタクトから今日も「上海帰りのリル」のメロディーが流れて来るのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く