四万十川のレビュー・感想・評価
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直接的な人間関係の過去世界とスマホ現代社会との比較に想いを馳せ…
大好きな山田洋次の「息子」が
キネマ旬報ベストワンになった年に
第10位に選ばれた作品。
TV放映になったので初鑑賞した。
監督の恩地日出夫さんの姿は、
むかしTVで良くみていたような気がするが
何の番組だったのかは思い出せない。
また、TV「傷だらけの天使」の監督だった
というのも初認識だった。
さて、素朴な時代の素朴な地方を舞台とした
この作品、私事とは時代も背景も異なる
ものの色々なことを思い出させた。
・働きに出る長女のシーンでは、
7人姉弟の長女だっため、家計や負担を考えて
上の学校へ進めなかった母のこと。
・米だけの弁当しか持って来れない少女
のシーンでは、
貧しくて登校出来ない同級生の家に
給食のコッペパンを届けた思い出。
・被害を受けている女生徒を傍観するのは、
加害者と同じだと諭す姉の科白は、
映画「紳士協定」やキング牧師の演説
“最大の悲劇は…善人の沈黙である”
を思い出させた。
それにしても、
冒頭での主人公宅の家の構造から、
川が増水したら流されないだろうかと
見ていたら、なんと終盤に台風で
家が破壊されてしまい、
昨今の水害を彷彿させる附合性に
大変驚かされた。
作品の完成度は及ばないと思われるものの、
宮本輝原作で小栗康平監督作品
「泥の河」を思い出させるようなこの映画、
古い因習に縛られながらも、
直接的な人間関係の中で
素朴に生きた過去の世界と、
こうしてスマホをいじっての
直接の人間関係の薄くなった現代社会と
どちらが幸福なのか、
過去への想いを馳せながら、
改めて考えさせる作品ではあった。
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