地獄の警備員のレビュー・感想・評価
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昔のパニック映画ということで視聴 警備員が次々に殺人を犯していく。...
昔のパニック映画ということで視聴
警備員が次々に殺人を犯していく。
ヒロインに恋したんだけど正直そんなの関係なしに殺しまくっている。
終盤にヒロインが動機を聞くがこういうのもいるんだという。なんたる理不尽。
最後は犯人が不意打ちをくらい俺を覚えておけと行って去ったあと首吊り自殺。
ハッピーエンドでいいのかな?とにかく気持ち悪い警備員だったよ。
最高に面白い!!!!
めちゃくちゃ面白かった!
黒澤清の良いとこ全部詰まってる。しかも心霊じゃないから怖くない!!!(心霊苦手)
まず空間の面白いさが最高で。
とくに、あの謎の地下空間の廃墟ゾーンと、警備室の半2階みたいな建物の中で浮いたような空間があってそこがほんとに気持ち悪い。
黒澤清の間取りの面白い建物とか空間の使い方好きだからそこだけでもう楽しい。
半透明のビニール越しのシーンもこの時代からすでにある!
全ての不気味なシーンにワクワクする。
松重豊演じる富士丸とゆう殺人鬼がその建物の変な空間を好んで潜んでいる、感じがまた良い。(もはや影に潜むモンスターみたい)
そして、それぞれの殺害の創意工夫とか、わー痛ー!
わー怖ー!って毎回なってほんと楽しかった。
黒澤清の映画の面白さが詰まってる。こんな面白い映画あるのか。最高。
女性の会社内での居心地の悪さがホラー表現の一部になっている部分も好き。
ハラスメントしたやつは死ぬし…。
ルドンとか我が子を食うサトゥルヌスなどの絵画の登場もいい。「ルドン好きなんですよ」と語る主人公の心の闇を見つめる姿勢が富士丸の怪物性を呼び覚ますトリガーになっていると解釈できる。
黒澤清の作品の中でもこの地獄の警備員は、エンタメ性と作家性とバイオレンスが高い水準で両立されたスーパー良作だと思う。長い間観たかった作品なので観れて嬉しい!
配信で鑑賞
俺のことを忘れるな
殺人鬼の富士丸は徹底的に内面の欠如した冷血漢のように描かれており、その手口もきわめて残酷だ。しかしそこには個人的な怨嗟や快楽のようなものが感じられない。彼は息を吐くように、何の感慨もなく人を殺す。
アルベール・カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは、殺人を犯した理由について、法廷で「太陽が眩しかったから」と述べた。これは露悪でも皮肉でも言い逃れでもない。彼は本当に太陽が眩しかったから、人を殺したのだ。しかしそれは一般的な倫理に照らし合わせてみれば荒唐無稽な戯言でしかない。ゆえにムルソーは異邦人なのだ。
富士丸もまた社会の原理から完全に逸脱した異邦人だといえる。彼は自身の異邦性に自覚があり、それゆえ自身の行動原理を周囲に説明しようとしない。無駄だから。そんな彼が唯一心を開きかけたのが、新入社員の成島だったのだが、彼女は富士丸を真っ向から拒絶する。
「私はあなたをわかりたくありません」
社会と繋がる唯一の回路を断たれた富士丸は、ボイラー室で静かに首を吊る。いやいや女の子にフラれたくらいで自殺だなんて、ここまできて突然人間臭くなるなよ、とは言いたくなるが。
しかし倫理を人間の条件とするような価値観もまた我々固有のものだ。もしかしたらその外側の世界というものがどこかに存在しているのかもしれない。
富士丸はそんな世界から我々の世界に迷い込んでしまっただけなんだろう。この世界では「異邦人」な彼もきっと、彼の世界では「普通の人」なのだ。
「俺のことを忘れるな」という言葉は、社会の裂け目の底でうずくまる富士丸の、必死の存在証明だったのかもしれない。
とはいえシステムから逸脱した異物(サイコパスとか障害者とか)がシステムの内部で不条理に振る舞うという形式はホラー映画の常道であるし、今更こういうものを撮ったから何だというのか、という気持ちもある。
森田芳光『黒い家』を既に見ていたということもあってか、今一歩満足できなかった。 カメラワークは流石だが、どうも音響がチープで…数多ある黒沢清作品の中では割と小ぶりな作品だろう。
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