地獄の警備員のレビュー・感想・評価
全10件を表示
【”我が子を喰らうサトゥルス”ゴン!ゴン!ゴン!今作は、無表情で孤独な大柄な若き松重豊さんが、こん棒で人を殴る姿が非情に怖い、邦画界では唯一無二の極北の世界感を味わう作品である。】
■総合商社に2人の新人が入社する。
1人は絵画取引を担当す営業課に配属された秋子。そしてもう1人は巨体で無口で無表情のの警備員・富士丸(松重豊)。
元力士の富士丸は兄弟子とその愛人を殺害したが、精神鑑定の結果、無罪宣告されていた要注意人物だった。
◆感想
・今や、世界の黒沢清監督の初期作品であるが、この頃の黒沢清監督の作品は、他の邦画とは違い、硬質で無機質な雰囲気が特徴である。
それは、後年の作品にも脈々と伝えられているが、後年は更にそこに乾性が加わっていると思う。
・私は、黒沢清監督作品は、その邦画界では唯一無二の世界感が好きである。が、監督の作品がヨーロッパの映画祭では高く評価されつつ、国内ではあまり評価されない理由も分かる気がするのである。
・今作は、ジャンルで言えば不条理ホラーに入るのであろうが、若き松重豊さん演じる富士丸が何故に無表情に人を力で次々に殺害して行くかは、詳細には描かれない。
彼が、無表情なまま口にする”俺の気持ちは分からない。”と呟く言葉から察するのみである。
<今作に、ストーリー性は求めてはイケナイのかもしれない。只管に、その極北の世界感を見る作品だと思う。松重豊さん演じる富士丸の不気味さは、比類がないと思います。>
腹は満たされたか?
40点ぐらい。下手な演技、全体的にイモっぽくダサイ。
テレックスとはなんぞや
美術販売を扱う会社に務めることになった女性が車内のセクハラと地下にいる危険な警備員からの脅威に怯える話。
上演後の監督のトークセッションで、若い時にほぼ自主映画のような感じで作ったからダメなところも多いと思うけど、、みたいなことを言っていたが、全っ然そんなことない。もはや私が今年見た邦画ホラースリラーの中では1番のクオリティ。
何より凄いのは怖いだけじゃなくて、所々かっこよく見えるシーンが混在してること。私はこれ、主人公の女の人が見てる時はちょっとかっこいい演出になってる気がするんだよね。ちょっと惹かれてるからこそ地下に何度も足を踏み入れてしまうし、主人公に色目を使う同僚たちも同じぐらいな脅威だし。
例えば、地下の警備員の住処で警備員に見つかりそうなハラハラシーン、音楽と松重豊のオーラと撮り方でめっちゃかっこよく見えた。一方で、警備員のおっちゃんや主人公に色目を使う同僚を殺すシーンはただただ怖い。特に給湯室のシーンなんて、頭を抑えてるだけで身動きが取れなくなってるの怖すぎ。下でジタバタしてる感じもリアルですごい怖かった。
あと、とても『パラサイト』と似てるとこあった。警備屋や警備員が地下で生活してるっぽいところとか、最後に「俺のような人間がいることを忘れるな」と言うセリフ、めっっちゃ『パラサイト』じゃないですか。確かポン・ジュノ監督って黒沢監督好きって言ってた気がするから、ちゃんと影響受けてて嬉しい。
これは余談だけど、同僚の女の人二階堂ふみに似ててすっごい綺麗だったのに全然モテてないのが気に触る(笑)
配電盤とイヤリング
女の子の眉が太いバブル期。学芸員だった成島秋子はバブル景気で急成長した曙商事に就職する。同じ日に入社となった警備員の富士丸は元力士であり、過去に殺人事件を起こしていたが、精神鑑定の結果無罪となっていた。
以前CSで視聴していたのですが、デジタルリマスターということで楽しみにしていた黒沢清監督の初期作品。低予算を克服するかのごとく、ロッカーから滴り落ちる血や、巨人をイメージするためのローアングル多用によって松重豊の不気味さを強調していた。警備員なのに『帝都物語』の嶋田久作を想像させる軍服。力士のようなでっぷりした体形ではないものの、鉄パイプでガツンとやられたらひとたまりもないイメージだ。
キャラ設定のこだわりは大杉漣演ずるクルメ変態課長だったり、クズだと思われてた吉岡(諏訪太朗)が意外と勇敢だったり、兵藤ルームという個室を持つ人事部長・長谷川初範と、役作りが凄いことを再発見。伏線もしっかりしているが、富士丸の荒んだ心は誰にもわからないまま。
冒頭ではタクシー運転手と秋子のやりとり。渋滞をいいことに嫌味な言葉を吐き捨てる運転手。こんな運転手ばかりじゃありませんよ・・・
最高
全10件を表示