死国のレビュー・感想・評価
全7件を表示
ホラーじゃなくても・・・
四国八十八カ所を逆に辿り、死者を蘇らせるという謎の伝承儀式。興味津々で観たのに、効果音の大きさの割りに台詞の声が小さいのでよくわからなかった。
前半部分は、故郷に帰るというノスタルジックな映画の雰囲気さえうかがわせるのだ。何となく、ホラーにしない方がいい映画になったのでは?と思わせるほど自然の描写が美しい。それに幻想的な池や洞窟、ホラー映画にこれほど美しさを求めてどうするんでしょ。もしや日本のキング作品?といった展開もあるかと予想させるのだが、所詮はホラー映画の名を借りた青春恋愛映画だった。そして、あのベアーハッグには何か意味が?
(2004年鑑賞)
恐怖と哀しみが交錯する心震える人間ドラマ
『死国』は単なるホラー映画の枠を超え、切なさと哀しみが深く刻まれた作品です。四国という神秘的な舞台、逆打ち巡礼の伝承、そして死者の復活というテーマが見事に融合し、物語に独特の重厚感を与えています。莎代里は幼い頃から霊媒師としての運命を背負い、母・照子の期待に縛られた人生を送ります。彼女の復活は母親の独断で行われたものであり、彼女自身の意志ではありません。その結果、彼女は生者としても死者としても翻弄され続ける悲劇の象徴となります。
一方で、文也の選択は愛情や責任、未練が絡み合った複雑なものでした。彼が莎代里と共に死者の国へ向かったのは、彼女を一人にできなかったからか、あるいは比奈子を守るための自己犠牲だったのか。答えは観る者に委ねられています。物語は過去との決別や未練からの解放というテーマを内包し、観客に深い余韻を残します。
美しい四国の風景、閉鎖的な村の空気感、そして莎代里の哀しい眼差し──これらすべてが観る者の心に静かに、しかし確かに爪痕を残します。『死国』は怖さ以上に人間ドラマとしての完成度が高く、観た後も心に残り続ける稀有なホラー映画です。
栗山千明の美しさだけが光る
久々に見返してみました。
ストーリーはやっぱり面白くないんですが、
栗山千明の美しさに、ただただ溜息が出ます。
この頃の栗山さんは、この世のものとは思えない美しさに溢れています。
不安定な眼差しや儚げな佇まい、少女とは思えない色気。
同性でも釘付けになってしまう栗山千明の魅力が最大限引き出されています。
筒井道隆さんは、二人から想いを寄せられる男性としては魅力が足りない印象。
あすなろ白書のときも思っていたんですが、モテ男の要素はあまり感じないのです…
蘇ったあの娘の抱擁は強烈でした…
1999年『リング2』と同時上映。
見るのは久し振り。約20年ぶりくらいかも。
その昔友達と観に行った時、「『リング2』は面白かったけど、こっちはつまんなかった」とか言ってたっけ。
まあ確かに、ほとんどの人がJホラー大ブームの火付け役の続編目当てで、こちらは“おまけ”。地味だし、若い観客には退屈な作品であろう。
今となっちゃあどちらも傑作とは呼び難いが、『1』と比べると遥かに劣化した『リング2』より実は意外と純和ホラーの雰囲気がある。
四国八十八箇所お遍路という、地域に伝わる日本の信仰。
それを逆に回ると、死者が蘇るという…。
日本独自の土俗的な題材と、奇怪な設定がマッチ。
美しい映像と相まって、叙情的なホラー作品となっている。
ホラーであり、三角関係男女の哀しいドラマでもある。
幼馴染みの比奈子、文也、莎代里。
莎代里はこの地を出たい憧れがあったが、代々継がれる口寄せの家系の跡取りで、それは叶わず。
やがて比奈子は引っ越し、そんな比奈子を莎代里は…。
成人し、久し振りに帰郷。再会した文也から莎代里が16歳で亡くなった事を知らされる。
比奈子が発った後付き合った二人は付き合い、未だ莎代里を引きずる文也。
が、比奈子と再会し…。比奈子も文也に…。
莎代里の死は事故ではなく、“儀式”の最中に悪霊に取り憑かれたという噂が…。
帰郷してから莎代里の実家で見かけた少女の影…。
家には今、誰もいない。莎代里の父は長らく入院中で、母はお遍路へ。が、その“周り方”というのが…。
惹かれ合う二人の前に現れたのは…。
若き夏川結衣の美貌が光る。
栗山千明の本格的女優&映画デビュー作であり、儚げな佇まいがこの世のものとは思えぬ存在感、現世に蘇ってしまった哀しさを体現。
筒井道隆は誠実な青年ではあるが、二人から想いを寄せられる男性としてはちと魅力不足。
ホラーと言うより陰湿でおどろおどろしい悲恋ドラマとして見るのが正解。
よって、好き嫌い分かれる。怖いホラーと思って見ると肩透かし。雰囲気はあるが、一応“Jホラー”の類いとして怖くないのは致命的。
何より衝撃的なのは、莎代里のさば折り。
華奢に見えて、蘇ったあの娘の抱擁は強烈でした…。
「今さら見直す元祖駄作」
うーん、原作の良さには遠く及ばず
全7件を表示