四月の魚 ポワソンダブリル
劇場公開日:1986年5月31日
解説
南の島の酋長を妻の替え玉を使ってもてなす映画監督を描いたラブ・コメディ。ジェームス三木原作の「危険なパーティ」の映画化で、脚本は「さびしんぼう」の内藤忠司と同作の大林宣彦、「ねずみ小僧怪盗伝」のジェームス三木の共同執筆。監督は「彼のオートバイ、彼女の島」の大林宣彦、撮影は「風の歌を聴け」の渡辺健治がそれぞれ担当。
1986年製作/109分/日本
配給:ジョイパックフィルム
劇場公開日:1986年5月31日
ストーリー
根本昌平は33歳。7年前、初監督作品の「夜明けのエクスプレス」で日本監督協会新人賞を受賞、その時の主演女優で4歳年上の衣笠不二子と結婚と話題をさらったが、興行的には大コケでそれ以来1本も映画を撮っていない。たまに不二子の撮影現場に顔を出しても、逆に彼女とアイドル歌手、四禮正明とのゴシップについて芸能レポーターに追い回される始末。そんな昌平が夢中になれることは、酒落たシステム・キッチンで作りあげるフランス料理。料理も映画も芸術品を作り上げる点で共通しているというのが彼の持論だった。ある日、昌平のもとに数年前CM撮影で訪れた時にお世話になった、アラニア島の日系二世、パナポラ・ハンダ酋長からエアメイルが届いた。商用で来日するため、4月1日の夜、根本家を訪れたいという。アラニア島では、友情の誓いとして妻を一晩提供するという習慣がある。昌平も酋長の魅力的な若妻ノーラと一晩過ごした。実は一晩中ふたりで星の数を教えていたのだが。困った昌平は悪友のシナリオライター藤沢に相談する。藤沢は知り合いの新人女優を不二子の替え玉にするというシナリオをでっち上げた。当日「酋長はノイローゼで危険だ」と不二子を実家に帰し、買い出しに行った昌平は、帰り道スーパーのレジで見かけるあこがれの彼女と出会う。アルバイトに行くところという彼女に昌平は、フランス式バレンタイン、フランス語で4月1日をポワソン・ダブリルと言い、この日、魚の型をしたチョコレートを愛する人に贈ると恋が実るという話をした。家の近くで別れて勝手口からキッチンへ。玄関のチャイムが鳴り、替え玉として現われたのは、先程別れたばかりの彼女だった。新人女優の万里村マリは、藤沢に演技テストを受けるよう言われて来たと言う。ふたりの夫婦ごっこが始まった。寝室に駆け込み昌平の目も気にせず、下着まで不二子のものに履きかえてしまうマリ。無邪気で明るい彼女にノーラの面影がダブる。料理を作っている際中、電話が鳴り「昌平の妻です」とマリが答えた。それが不二子からとは昌平は知るよしもない。夜、やって来た酋長は一目でマリを気に入る。パーティが佳境に入った頃、思いもよらず不二子が帰宅した。不二子はマリを見て怒り狂い大騒ぎとなる。結局、マリがディスコに行こうと酋長を連れだした。真実を不二子に話し、明日出て行くと言う昌平。その時、藤沢から電話が入り、不二子は昌平とノーラは何もなかったと知って仲直りした。翌朝、スーパーへ出かけた昌平は魚の型をしたチョコレートをマリにプレゼント。ノーラも替え玉という酋長からのメッセージを受け取った。後日、酋長からの招待でアラニラ島に出かけたマリが書いた旅行記がベストセラーになる。その映画化が決定、昌平が監督、マリが主演女優となった。