劇場公開日 1962年11月18日

「古き良き映画、でも自分好みではないかも」秋刀魚の味(1962) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0古き良き映画、でも自分好みではないかも

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

幸せ

総合:60点
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 55
ビジュアル: 65
音楽: 65

 人々のありきたりの日常と彼らの抱えるささやかな問題を、しっかりと話としてまとめて映画化するという点において、本作は独自の位置を確保している。やたらと派手な出来事や目を引く映像がなければ映画化にならないことが多いであろう娯楽産業において、この位置づけは興味深い。その中で、恩師とその娘の人生の「失敗例」としての描き方はなんとも厳しい。
 しかしこのころの映画の特徴なのか小津安二郎監督の特徴なのか知らないが、科白は互いに重なることもなく交互に順番で行儀よく喋られる。映画の中の会話というよりも舞台演劇の科白回しのようだ。しかも淡々と棒読みをするだけである。現代の映画を見慣れていると、それがいかにも演技という感じを受けてあまり自然な演出には思えない。セットもたいしたことはない。
 この不自然な演出も含めて、なんとなく良さはわかりつつも、それほど好きな作品とも言い難い。やはり昔の映画だなと感じるし、のんびりしたなかなか進まない話にもちょっと退屈を覚えることもある。世間の評価も高いし古き良き映画なのだろうが、もしかすると自分の世代の好みではないのではないかと思う。いやでも若い世代もこの映画を支持しているようだから、ただ単に自分の趣味にぴったりとは合わなかったということか。

コメントする
Cape God