「東野英治郎」秋刀魚の味(1962) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
東野英治郎
ひょうたんとあだ名された先生・東野英治郎の泥酔演技はさすが。素面の時の平身低頭姿勢も哀愁を漂わせていい雰囲気だ。掃除機、冷蔵庫、高度経済成長期における三種の神器と呼ばれる家電と生活臭が懐かしさいっぱい。といっても知らない時代ですが。
見合いでもなく、周りでどんどん縁談をすすめる昭和の良き時代。兄の同僚の三浦にちょっと気があっただけだったのにすれ違いで・・・と、その後があっさり決まってしまう。子どもたちの目線はほとんどなく、父親と親友2人の描写が中心。
「(人生は)ひとりぼっち」という言葉で、小津の人生観を象徴する。結婚させた方が娘の幸せになるんだという思いが伝わってくるが、それよりも寂しく死に行く前に身辺整理をしただけのような気がしてならない。日本の敗戦についての考察も興味深いところだ。
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