讃歌のレビュー・感想・評価
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ATG = 日本アート・シアター・ギルド
せっかく同一原作から映画が8度も作られているのだから、
新藤兼人さんも同名で、「春琴抄」のままで良かったのではないかな。
観比べる楽しみが増えますからね。
いかにもなATG。
テーマも、画像も、演技も、音楽も。
実験的で先鋭化した作品を、数々と生み出してきたムーブメントです。
1972年。
うちの隣地の大学では、機動隊と若者が連日闘っておりました。
佐助が抱えた縫い針と、突撃する学生たちのゲバ棒が、どこか重なります。
確かに、
「純愛」と「革命的闘争理念」のためには、眼球も生命も捧げて捨てていた ―
それがあの時代だったのでした。
学生たちや意識高い系の観衆が、眉間にしわを寄せてこれを観ていたのでしょうけれど、
お師匠さまの春琴が、厠 カワヤ でつくばっている後ろ姿とか、
蒔絵の鉢でうやうやしく運ぶ大便とか、
白塗りで佐助と情交しているあられも無いシーンとか、
「山口百恵・三浦友和バージョン」では、あれらは一体どうなっているんだろうと
淫らに夢見ます。
エログロナンセンス
闘争勝利
谷崎潤一郎は、めっぽう助平な、大衆流行作家だったんですねぇ。
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原作は未読です・・・本を読まないもんで・・・
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新藤兼人本人がインタビュアーとなって、鵙屋春琴(渡辺)の家のお手伝いとして働いていた鴨沢てる(乙羽)に春琴の実像に迫るという形をとった作品。めしいた三味線の師匠の春琴に仕えていた丁稚の佐助(河原崎)の献身ぶりと愛情豊かな姿を描いていて、暴漢によって頬に火傷を負った姿を見たくないばかりに自分で目を刺し、自ら盲目となった佐助。原作がわからないのでよくわからないが、この自虐的献身愛は凄かった。
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