座頭市あばれ火祭りのレビュー・感想・評価
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善盲対闇盲
シリーズ21作目。1970年の作品。 とある村で、百姓から悪どい取り立てをするやくざ子分を斬った市。その子分が、各やくざ親分の大親分、盲の闇公方であった事から、一夜の内に市暗殺指令が各やくざ組織に命じられる…。 自分が盲なのはご先祖様の罰を背負っている。格言を言ってるようだが…、今回の親玉はシリーズでも相当のワル。 常々市は言う。俺たちやくざはお天道様の下を歩けない。 しかし、この大悪玉はのうのうとお天道様の下を歩き、子分どころか堅気の人まで頭を垂れさせる。 いそうでいなかった盲の敵。同じ盲でも、こうも違う。 森雅之が怪演とも言うべき存在感。 闇公方は右腕であるやくざ親分の娘を使って、色仕掛けで市を罠にハメる。 その娘・お喜代が市に恋心を抱き…。 色っぽさと何処か悲劇的な役回りは大原麗子の十八番。 序盤、妾市で一人の若妻を助けるも、付け狙う輩に斬られてしまう。(ちなみにこの若妻を演じた若き吉行和子がこれまた色っぽい!) 夫である浪人が輩を瞬く間に斬り捨て、市も執拗に追う。 今回のライバル、仲代達矢が痩せこけた風貌、ギョロッとした目付き、黒澤作品で鍛えられた殺陣で市と渡り合い、さすがの存在感を示すが…、 果たしてこの役、本当に必要だったのか疑問。いなくても市対闇公方だけで成り立つちゃあ成り立つ話である。 勝新太郎が初めて脚本に参加。(これまでにも参加していただろうが、初クレジット) 冒頭ナレーション、妾市、盲の敵、クライマックスの罠を仕掛けた火あぶり…いや、タイトル通りの“あばれ火祭り”! 色々アイデア駆使し、何処がどうと言う訳ではないが、いつもと変わった雰囲気を感じたのだが…、 でも結局は、いつもと同じ“座頭市シリーズ”であった。
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