劇場公開日 1968年8月10日

「作品のトーンが暗い分、渋い座頭市」座頭市果し状 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5作品のトーンが暗い分、渋い座頭市

2024年6月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

BS12にて鑑賞
自分が観た前2作に対し、コメディパートを省いた分、作品のトーンが総じて暗いが、これはこれで渋い。
悪役が、徒党を組んだり、ちょっとした権力を手に入れたりすることで、イキがって暴力的な振る舞いで周りを抑えつけようとするチンピラ感がよく表現されており、座頭市の正義感がより際立っている。

毎回、座頭市作品の画面づくりには、とてもこだわりを感じるが、今作も例外ではない。
CGなどありえない時代に、曇天で稲光が光る野を一人歩く座頭市のシーンの完璧な美しさに息を飲んだ。
また、全体的にモノクロに近いダークトーンの中、わずかに差し色として赤や青を配した殺陣のシーンの緊迫感。
制作陣のこだわりとプライドが伝わってきた。

医者役の志村喬が、やはりいい味を出している。
血の気が引き、弱った座頭市の表情も見どころ。
エンディングのほろ苦さもよかった。

sow_miya