座頭市物語のレビュー・感想・評価
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演出と撮影が素晴らしい そしてなにより勝新太郎!
めくらだとか、かたわだとか、そんなこと言ったって、別に文句は言やしねえよ
その通りだもんな
だけどね
たかがめくらだとか、めくらのクセに・・・フッ
めくらを侮っていなさることに文句がある
昨今のポリティカルコレクト(PC)による言葉狩りにはこの座頭市の台詞を問いかけたいものです
画期的なヒーローのキャラクター造形です
それを説明するカットの的確さ
しかし居合い斬りの腕の凄さは、彼の勘の鋭さだけを見せて予想させながらも、なかなか披露してくれません
ようやく上の台詞があって初めてそのシーンとなります
燃えるろうそくを空中に投げて居合い抜きでぶった斬る
横にではなく、縦に真っ二つ!
しかも芯まで縦に切り分けており、火は左右に転がる二つのろうそくで燃えている
この痺れる演出
画面のなかで息をのんで仰天する一同の姿は観客の私達の姿です
このシーンで本作のやりたいことは半分終わってしまったといっても良いと思います
残りの半分は天地茂の演じる平手造酒とのエピソード
溜池での釣りでの出会い、寺での酒の酌み交わし、そして橋上での決闘
どのシーンも最高だ!
つまり天保水滸伝に題材を取った筋立てはこの二つを撮りたいがための、お膳立て、舞台設定に過ぎないのです
全てが終わり飯岡の町をでる時、市はドスを寺の小坊主に託します
平手造酒の亡骸と一緒に埋めてくれと
市がめあきから侮られたく無いために修練して会得した居合い斬りの技
それを捨てるという意味です
平手造酒との交友は、彼が本当に求めていたこと
それはみあき、めくらとか関係なく、お互いの人間性だけを認めあった人と人との心からの付き合いだったのです
居合い抜きの技をあそこまで高めたのは侮られたく無いためにではなく、人として認められたかったからだったと彼は気がついたのです
それを達成したからには最早こんなドスは不要
人として互いに認めあった友人を斬ったドスは忘れさりたいものになっていたということです
そして待ちぼうけをくう女のカット
市は道を逸れておたねを避けて去っていきます
おたねは彼を杖となって支えると言い彼を慕いますが、平手造酒のように互いを尊敬しあった関係では無いのです
市にとっては煩わしいだけだったのです
彼は林の斜面から道に戻り遥かな空の先に歩いて行きます
手前には伸び放題の草が取りのされています
それは残されたおたね、町の連中、観客たる私達のことでしょう
そしてエンドマーク
この全てを振り捨てて去っていく市の後ろ姿の果てしない虚無感は本当に印象的です
居合い抜きの技
それは人と人との本当の尊敬しあう関係を作りたかった為に始めたものだったのに、それは二度と出会えないであろう真の友人の命を奪ってしまったのです
演出と撮影が素晴らしい
そしてなにより勝新太郎!
彼でなければ本作の成功はなかったでしょう
座頭市
日本映画永遠のヒーローとしてこれからも失われることのないキャラクターでしょう
めあきがめくらに敗北する物語
まさかの正統派時代劇
一作目の座頭市。
僕は、タケシ版、あと、何作目か分からないけど、たまたま見た座頭市をいくつか観た程度であるが・・・
面白かった。この一作目は僕の知っている座頭市と違っていて、正統派時代劇だった。突飛な殺陣は無し。とても静かな時代劇だった。
社会派・・・というか、基本的には人間ドラマで魅せていた。悪役の見せ方が上手い。「許されざる者」のように、この人良い人かな?って思うと、ことごとく裏切られるので、話がどっちに転ぶか分からない。
ハラハラドキドキ・・・はしない・・・しかし、この登場人物はどうなるのかな?という、人物描写で観客の興味を飽きさせない。
勝新太郎の自慢の殺陣はあまりない。ちょっとずつ、ちょっとずーつ見せていく。あと、殺陣より何よりも座頭市の日常シーンが魅力的。ずんぐりむっくりしている勝新太郎が「可愛い」んだよね笑。愛嬌がある。すごくハマってた。
ちなみに、音楽は伊福部昭がやっていた。確かに、音楽はゴジラが歩いてる時にかかりそうなやつだった。
最悪
採点= 0/100
剣の達人である盲目のヤクザが決闘をする話。かつ しんたろう という有名な役者が主役を演じる。
内容は最悪。白黒で画面が見えにくく、画面のほとんどが黒いシーンさえある。またストーリーも単調で、盛り上がりに欠ける。
しかも、会話の「盲目」の部分がすべて無音にされていて、話が理解できない。盲目が差別用語なので、消してしまったからだ。見ている人は強い不満を感じる。
大事なのは、すべての差別用語を塗りつぶし、差別用語の書かれている本を燃やす事なのか? そんなはずは ない。
昔、こんな差別があったのだと、ちゃんと伝える事の方が何倍も大事なはずだ。冒頭に差別用語の説明でも入れておけば済む話なのに。
結局、製作者は差別をなくす事など考えていないのだ。ただ、差別を水面下に隠すだけ。より陰湿な差別になるだけなのに。
私は少なくとも、話がまともな映画なら40点以上を付けているのだが、ここまで視聴者を蔑視した映画に採点などできない。当然ながら0点だ。
差別主義者の製作者に哀れみを覚える。
日本映画屈指の名キャラクター!
勝新太郎の最大の当たり役、大人気ヒットシリーズの記念すべき第1作目。1962年の作品。
何と言っても、この“座頭市”というキャラクターが最高。
勝新は豪快な人物だったが、座頭市は腰が低い。
盲目というハンデを背負いながらも、愛嬌ある性格が作品の娯楽性を高めている。
頭も切れ、序盤の博打でまんまと金をせしめてみせ(ほとんどイカサマだけど)、健常者をギャフンと言わせる。
そして、居合斬りの達人。
また自分は真っ当にお天道様の下で生きられないヤクザ者である事を承知しており、愚かな考えの悪徳親分に啖呵を切る。
本当に魅力的なキャラクターだ。
話は、旧知のヤクザの親分を訪ねた市は、やっかいになる。ある時、持病持ちの浪人と親しくなるが、敵対するヤクザ一味の用心棒で…。
その後のシリーズもほとんど話は似たり寄ったりだが、この第1作目で骨組みをしっかり形成。
本作では特に、市と絆が芽生える浪人に扮した天知茂の静かな佇まいが素晴らしい。
やがて斬り合う事になる哀しい運命、それでも剣術に長けた者として、男として、その誇りと生き様を名優二人が体現する。
職人・三隅研次の演出は快調、伊福部昭の格調高い音楽も作品に深みを与える。
勝新亡き後、この名物キャラクターを幾人も演じた。
たけし座頭市は勝新座頭市のキャラクター性を引き継いで悪くはなかったが、香取座頭市はただでさえハンデを背負っている座頭市を暗い男として描き酷かった。
やっぱり座頭市=勝新!
勝る者は居ない。
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