雑婚時代

劇場公開日:

解説

江崎誠致の同名小説を「女房学校」の斎藤良輔と、内山順一朗で共同脚色、「夜はいじわる」の田中重雄が監督した。撮影も「夜はいじわる」の高橋通夫。

1961年製作/83分/日本
原題または英題:Prize of Flesh
配給:大映
劇場公開日:1961年9月27日

ストーリー

大東京が夕闇に包まれた頃、チャップリンの映画を見た平田剛が表に出ると、「おじさん!」と呼ぶ声がした。霧の中に一人の少女がたたずんでいる。平田はこうしてマリ子を知った。大女優になりたい--これが、若鮎のようにピチピチしたマリ子の夢である。家を飛び出した彼女は、芸域をひろくするためには体当りで何でもやるのだといって、平田をびっくりさせた。平田はある電機製品販売会社の専務で、永患いの妻八重子と二人暮らしだが、明るくて大胆なマリ子にすっかり魅了されてしまった。マリ子はこれまでの小劇団を離れ、銀座裏のバー「雑婚時代」の女給になった。常連の新進作家花井にとり入って新劇座のスターになり、「椿姫」の主役をもらった。その夜、花井のアパートに姿を見せたマリ子は、彼の前に肉体を投げ出すのだった。マリ子は新劇座の幹部旗田から演技指導をうけるうち、彼とも関係を結んだ。それによって花井と手を切ろうという、彼女一流のやり方だ。京都で公演中、マリ子は街角で先輩の草柳夏代と会い、彼女のパトロン成宗に紹介された。成宗はセントラル電機の重役で、近く同社がスポンサーになるテレビ番組の主演女優を探しているのだった。マリ子は湖へのドライブで成宗に得意の体当り戦法をかけ、テレビの役をかち取った。いまや彼女は成宗をパトロンにして豪華なアパートに住み満足感を味わった。未練がましく訪ねて来る旗田など歯牙にもかけない。そんなマリ子に、いちぢくプロの諸岡が、大宝映画出演の話を持ちかけた。ある日、マリ子は成宗に会うため料亭へ行くと、意外にも夏代と成宗の妻房子がいた。パトロンを奪われた夏代が房子にけしかけたのだ。マリ子は手切れ金を出す夏代の頬を殴って、憤然と席を立った。パトロンを失ったマリ子の望みは、映画に出ることだけである。諸岡の仲介で知った番堂興行の社長は、サーカスの団長が鞭をふるうのと同じやり方で、マリ子の肉体に襲いかかった。まもなく、映画「私には夫がある」が封切られると、マリ子は有名になった。しかし、彼女は一人の男だけを愛していたことに気がついた。それは、自分を精神的に愛してくれた平田剛である。

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