「四大美女に集中すべし、」細雪 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
四大美女に集中すべし、
原作の小説があまりに面白いので、映画を検索してみてみた。
この巨大な原作を、2時間にまとめるのは、無理なのは分かっていたが、
1年にすべての要素を集約することで、
なんとかまとめあげることには成功したような作品。
それゆえに、原作愛好者は、そこを踏まえて、映画の狙いをしっかりと見極める必要がある。
単純な原作との比較では十分に楽しめない。いや、比較してはならない。
岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川祐子の美を堪能することに集中すればいいということである。
ただ、貞之助の名誉のために一言。
映画のように、雪子に横恋慕するような優男ではない。義兄として責任を果たそうとする男気のある好男子である。大洪水のおりの妙子救出の一幕はそれを如実に現している。それに、幸子とは夫婦円満であり、幸子の流産のおりの貞之助の行動は本当にすばらしい。雪子のお見合いについても、義兄としてのサポートは完璧である。貞之助のような男になりたいものだと思う。
映画は大団円だが、原作は決してそのような感じではない。明るい春爛漫のように開幕した物語は、暗い不穏さを醸し出しながら、唐突に終わる。上中下巻の下巻では、谷崎潤一郎の雪子、妙子に対する視線は、耽美性を超える異常さを垣間見る気がしてとってもモヤモヤするのである。
原作未読の方には、是非一読してもらいたいと強く思うものである。
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