ゴンドラ(1987)のレビュー・感想・評価
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この映画が30年前に作られたものとは驚き。
まず、映像が綺麗。特に青森県下北半島の風景を、わたしは実際に見ているだけに、そのまま切り取ってスクリーンに貼り付けたような印象を受けた。35ミリフィルムに焼き付けられた鮮やかな色が、そのまま残って再現されていたのはほとんど奇跡に近い(上映後の伊藤監督の挨拶でもそう語っていた)。デジタル全盛のご時世だけど、アナログの映像は柔らかくて暖かい。心まで包み込む。
ストリーは単純。夫婦仲が悪くなって父親が出て行った後の母子家庭。心を閉ざしている少女は、窓拭きの青年に会って少し心を開く。青年の故郷に一緒に行き、青年の両親に会ったり青森の自然に触れてまたもう少し心を開く。ラストは、少女のちょっとだけの成長と夫婦が和解してまた家族で暮らすことを暗示して終わる。それだけ。
心の癒しと救いというテーマが、美しい映像と役者の朴訥とした演技の一番深いところを静かに流れている。
いつまでも心に残る映画には一生の内そんなに出会えることはないが、わたしにとってこの映画はその1つになる。今回のリバイバル上映においてデジタルリマスターされたので、メディアが販売されたら購入したい。でもやはり35ミリを何度も見たい。
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