「自分にとってのかけがえのない作品」ゴンドラ(1987) 荒川ラリーさんの映画レビュー(感想・評価)
自分にとってのかけがえのない作品
自分にとっての最高の映画は、内容云々の前に、その映画と出会うシチュエーションも重要な条件になってくると思います。私は旅先の宿でたまたまこの映画を鑑賞し、ハマりました。私自身、人生について色々と思い悩んでいた時期であったので、この映画で主人公ふたりがそれぞれの人生に思い悩み葛藤する姿は、私の心に深く突き刺さりました。映画という虚構世界が、自身の生きている現実世界とリンクするような、そんなリアリティを感じました。
死んでしまったら私たちはどこへ行ってしまうのか?誰しもが子どもの頃に考えていたであろう死についてのあれこれは、大人になるにつれ、現実にのしかかってくる多くの問題に忙殺され、忘れ去ってしまいます。でも、この映画のかがりちゃんを見ていると、私たちがかつて死を思っていた頃の遠い記憶が、生々しい手触りをもって呼び起こされる思いがしました。
初鑑賞以後、幾度も繰り返し見ている作品ですが、そのたびに、自身の心臓の鼓動が再び強く動き出すような勇気が湧いてきます。この作品に出会えたことは、自分の人生にとってかけがえのない思い出です。
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