コミック雑誌なんかいらない!のレビュー・感想・評価
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歴史的価値のある作品
新文芸坐 さんで #滝田洋二郎 監督『#コミック雑誌なんかいらない!』(1986)を鑑賞。 #内田裕也 さんの狂気を帯びた演技もさることながら、85年当時の #ロス疑惑 、#豊田商事事件 、#山一抗争、#日航機墜落事故、#神田正輝 さん #松田聖子 さん世紀の結婚など実在事件・出来事を織り交ぜながら当時のTVワイドショーの過熱報道ぶりを描いた怪作・傑作。 当時は朝から晩まで流れ続ける過熱報道が日常の風景、普通のことと思っていましたが、令和の今見直すと隔世の感を禁じえませんね。 歴史的価値のある作品ですね。
手ぬるいマスコミ批判
内田裕也やビートたけしの演技は面白いものの脚本といい演出といい問題意識といい稚拙な部分が目立った作品だった。 とは言いつつも序盤のロス疑惑のインタビューあたりまでは本当に良かった。インタビュー対象に論理的にも倫理的にも完全敗北を喫しているにも関わらず「一言だけお願いします」と機械のように繰り返し続けるキナメリには当時のマスコミの狂いぶりが見事な形で刻印されていたと思う。「恐縮です」と口では言いつつも微塵も恐縮していない慇懃無礼ぶりも面白い。 しかしマスメディアの暴走を最前線で担っていたキナメリが最終的にマスメディアの標的にされるという展開はあまりにもありきたりだ。しかも唐突に「俺は報道倫理に目覚めたんだ!」と改心させるのではさすがに具合が悪いと思ったのか、日本航空123便墜落事故や豊田商事事件といった誰もが厳粛とならざるを得ない事件を通じて彼を少しずつ倫理の側にズラしていくというセコい戦法を取る。 「細部を誤魔化しながら大局でドラマチックな物語を提供する」みたいなやり方こそがマスコミの最も非難すべき側面であるはずなのに、それをマスコミ批判映画の本作が率先してやってしまっているという皮肉。ミイラ捕りがミイラになるとはまさにこのことだ。 ここは下手に冒険せず、キナメリを最後まで狂人として描き切ったほうがよかったんじゃないか。それこそ御巣鷹山山中に転がる焼け焦げた無数の死体に向かって「一言お願いします」とか、悪徳商社の会長を殺しに来たビートたけしから刃物を奪って「動機は何ですか?」とか。アパート前で待ち構えるマスコミの前に血塗れのキナメリが出てきて全員が押し黙る、みたいなオチのほうがよっぽど倫理的だと思う。 劇中で幾度か挿入される無人の球場でのやりとりにもいまいち視覚的インパクトがない。しつこいスローモーション演出も退屈だった。特にラストカットの緩慢ぶりには辟易した。等速で流して最後にマイクを投擲する瞬間だけスローにするのではダメだったんだろうか。
滝田洋ニ郎
あんまり興味なかったけど、せっかくの2本立てだし見てみようと思って見てみた。
途中までは本当につまんなくて、世代じゃないってのもあるんだろうけど、見なきゃよかったなーって思った。
でも、ラスト、たけしが出てきてから空気が一変して、男を殴りながら報道陣の方に向けた目を見て、あーこの目を見れて良かったって思った。
たけしのあの目は、それだけで、この映画を僕にとってとても価値あるものにしてしまった。
マスゴミとジャーナリズム
内田裕也のキャラや存在感より、カメオ的に出演する豪華脇役陣が凄まじく、ラストはビートたけしの怪演で全てを掻っ攫う!! 芸能界を含めた日本の社会情勢に怒りと鬱憤が溜まったかの如く、それらを揶揄するかのようにブチかます内田裕也のマジメには描かないコミカルさに棘がある。 ロス疑惑の三浦和義に突撃したり、山口組と一和会にまで突入する根性?には唖然とさせられ、四代目になる竹中正久らしき人物も画面に映り?? ドキュメンタリーの皮を被ったモキュメンタリー的な姿からの、脱がせたら一種のパロディ映画かと思いきや、ノンフィクションな腹の中!?? 公開当時は五〜六歳の自分、二十歳前半にTV局のカメアシ業務を、仙台の刑務所?拘置場?から出所した三浦和義を取材車で追ったことがある、ちょっとしたカーチェイス宛らの気分を味わった。
恐縮です。
梨本勝本人も同業者として出演しているし、ロス疑惑の三浦和義本人も使ってた。そんな芸能レポーターから夜の番組の性風俗突撃レポートまでやらされる。山本晋也に負けないくらいにやれとはっぱをかけられる。ホストクラブに片岡鶴太郎やら郷ひろみなんかがいたりするのが面白い。 本物を撮ったりするドキュメントを織り交ぜ、徐々に本当の社会問題を取り上げたくなったりするキナメリ。隣のじいさん(殿山泰司)が金の先物取引に2千万払った事実、たまたまキナメリを買った主婦から金の証書を見せられ、独自に取材するようになる。 日航ジャンボ機墜落事件のシーンは胸が痛むし、豊田商事をモチーフにした刺殺事件はビートたけしの怪演が見られる。1985年にどんな事件が起きていたのかを思い出すためのドキュメンタリーとしても面白いし、途中にダレてくるが、終盤のキナメリの心変わりと自分が取材を受ける立場になったラストなど、見どころは多い。
恐縮です。 I can't speak fu○kin' Japanese
とあるジャーナリストのフェイクドキュメンタリー。芸能リポーターだったが深夜番組にとばされたり、夜のお仕事の体験(潜入?)取材をしたりなど淡々と話は進む。1986年だからドライブインシアター全盛の頃なのか情報屋からネタを仕入れる場面でてくる。 とにかく主演がかっこいい。ジャーナリズムの異常性を描いた作品。
すごくいい
内田裕也がバーで自分の子分みたいな連中にからまれる場面が面白かった。安岡力也が若くてかっこよかった。
事故を起こす前で顔がまがっていないビートたけしがやたらとギラギラしていてかっこいい。
スキャンダラスなお騒がせ映画みたいな側面もあるのだが、芸能レポーターのお仕事映画で、そこからは全くはみ出さず描いていて、それでいてエキサイティングだった。
頭脳警察の『コミック雑誌なんかいらない』が掛かっていたような気がしたのだが全く掛からなかった。
何度か見ているけど今回もよかった。カナザワ映画祭で見た。
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