「貫禄と風格」小早川家の秋 LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
貫禄と風格
松竹の大看板とも言える小津安二郎監督を東宝が招いて制作した作品です。と言っても、特に大きな出来事は起きず、娘が嫁に行くの行かないのというお馴染みの家庭劇はいつもの小津物語です。でも、本作は非常に強い印象が残りました。監督も老境に入ったせいか(本作の2年後に亡くなる)、お馴染みのローアングルの映像に凄く安定感があり観ているだけで心地よいのです。新珠三千代さんの脂の乗り切った貫禄、鴈治郎さんのちょっとした所作にも表れる上方歌舞伎俳優の粋さ。
そして、小津作品ではいつも物語にさざ波を立て、僕の御贔屓の杉村春子さんは本作でもどこか規格外れの魅力。などなど、オールスターキャストが決して出しゃばらず味わいを放ちます。東宝が監督を松竹から招いた力の入れ様が窺える作品でした。
コメントする