劇場公開日 1961年10月29日

「小津監督作品の番外編ながら名品だと思います」小早川家の秋 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0小津監督作品の番外編ながら名品だと思います

2019年10月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

原節子41歳
まだまだ十分に美しいです
ですが流石に娘役はもう無理で、大きな子供のいる後家さんの役で司葉子の相談相手という脇役としての登場です
原節子と小津監督のコンビは本作が最後となりました
彼女は冒頭から登場しますが本作では主人公ではありません

実質的な主人公は造り酒屋の主人の小早川万兵衛です
中村鴈治郎が見事な演技を見せます
その周囲に様々な女性が衛星のように巡る物語です

関西を舞台に東宝のスターを使った特番的風情ですが、そこは小津監督です
大満足のクオリティで圧倒されます
とにかく新珠三千代が素晴らしく、小津監督の作風に大変にマッチしています
彼女の持つ気品と気位がピタリとはまっているのでしょう

司葉子が本作のヒロインなのですが、現代的な雰囲気が今一つ溶け込んでいないように思えました

小津監督作品の常連俳優も登場します
加東大介も冒頭から登場して森繁久彌とつばぜり合いをして見せますが、少し遠慮がち
というか森繁久彌が前に出過ぎ気味です
笠智衆は顔見せ程度のチョイ役で本当にゲスト出演という体
杉村春子も出番は少ないもののクライマックスでの放言しての笑いから号泣への自然な移行の演技は見事

小津監督作品の番外編ながら名品だと思います
心から楽しめる作品です

あき240