「琥珀のグラスに浮かんで消える虹色の夢」GONIN 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
琥珀のグラスに浮かんで消える虹色の夢
石井隆監督作品は初見。
邦画の名作としてよく名前が挙げられてたのは知っていたけれど、何年もタイミングを逃していたのでこの機会に観てみた。
子供の頃はバイオレンス作品やヤクザなどの裏社会モノがあまり得意ではなかったけれど、構想元になった『レザボア・ドッグス』や北野武監督作品や韓国映画、『龍が如く』シリーズをプレイして素養を付けたのもあって途中で飽きることもなく楽しめたし、通常版で観たけれど個人的には別バージョンも観たくなるくらい良かった…。
バブル後に生まれた世代だからかも知れないけど、(公開時リアルタイムの時代設定なのが)今見るとバブル期から21世紀を迎えるまでファッションや文化、小物類が自分が写真や映像でしか見たことがなかった盛り場のものだったこともあって、この作品自体が絶妙に現実と虚構を曖昧にしてるように見えて好みだった。
個人的に基本痛い系の描写とかは苦手なんだけれど、バイオレンス描写が見れたのはそういう要因もあると思う。
(観たのが通常版なのもあるかもだけど)急な回想や事象、関係を匂わせる描写などが多くて、後で調べたら石井隆監督は漫画家でもあったと知って納得。
それを踏まえて本編を思い返すと、横顔や倒れた状態でカット割ってるシーンが今ならワンカットで撮影ももしかしたら出来たかも知れないと思ったし、もう石井監督が亡くなってるのがとても惜しまれる。
『龍が如く』シリーズをプレイしていると同シリーズにも登場してるビートたけしさんや鶴見辰吾さん、ヤクザ組織のアレコレやディスコ、バッティングセンターなど、もしかしたら他のヤクザをテーマにした作品に並んで『龍が如く』にも影響を与えたのでは?と思える元ネタのような描写があったのも良かった。
素晴らしい作品に出会うとその作品に使われている挿入歌もお気に入りになって一時期ブームになるんだけど、ちあきなおみさんの「紅い花」もその例に漏れずハマりそう。
各俳優陣も素晴らしい演技だったし2やサーガも楽しみだけど、この後どう続けるんだろう…?