「エロなし銃器なし、シリーズ屈指の本格時代活劇」子連れ狼 冥府魔道 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
エロなし銃器なし、シリーズ屈指の本格時代活劇
クリックして本文を読む
人気劇画の映画化第5作。
前作を挟んで三隅研次が監督に復帰。撮影は大映の人気シリーズを多数こなし、のちに五社英雄監督作品の多くを担当する森田富士郞。
脚本は原作者、小池一夫と中村務の共作。
共演陣は加藤嘉、岡田英次、大滝秀治と渋めの顔ぶれ。
バラエティ化する前の大滝はクセの強い悪役のイメージがあったが、本作では悪役とはいえ、どこか達観した得体の知れぬ役どころ。
安田道代、佐藤友美ら女優も登場するが、前作でお色気が過ぎてお叱りでも受けたのか、今回は露出なし。
ただ、安田演じる不知火が海中で血に染まるラストシーンはどこか隠微で暗喩的。
柳生烈堂役はまたまた変更。メイクが濃いので誰かと思ったら、大木実。やっぱり烈堂のイメージに合わない。戸浦六宏の使い方が勿体なかったので、彼でも良かったのでは。
戸浦同様、名脇役の天津敏や若手時代の山城新伍もチョイ役にて登場。
黒田騒動をモチーフにした内紛で御墨付きを巡り拝一刀や裏柳生、黒田面頬衆入り乱れての密集した剣劇が本作の見どころ。
特に、クライマックスの一刀と黒田藩士や面頬衆らが御殿で斬り結ぶ場面は見応えあり。
大映由来の色彩美は少なくなったが、外光を効果的に用いた屋内での陰影の演出があざやか。
圧倒的不利のなか、若山富三郎の豪快な殺陣が冴える。
シリーズ中、本作だけはNHKでもぎりぎり放送可能?!
BS松竹東急にて初視聴。
コメントする