ゴジラVSキングギドラのレビュー・感想・評価
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真面目に観るとこれは辛い。
まず脚本が雑で色々と腑に落ちない。今時のよく練られた時間SFに触れている人なら尚更だろう。未来人の描き方がどうにも拙い。キングギドラの設定も辛い。別に設定を変えるのは構わないけれど、あれじゃあ可哀想すぎる。ついでにキャスティングもどうかしている。こうした欠点を補うだけの突出した美点も見当たらない。 個人的には見所がなかったわけでもない。怪獣の見せ方だけは好かった。見たい画をちゃんと見せてくれる。やっぱりキングギドラの威容は画面に映える。終盤の部分的に機械化されたデザインも素晴らしい。つまり特撮部分の画作りは期待通りだった。これは主に川北紘二特技監督の手柄だろう。翻って監督脚本の大森一樹の続投は裏目にでた感じかな。残念。
もったいない
アイディアやメッセージ性や音楽はしっかりしているのに色々もったいない。
例えば
むやみにCGを使う点。
空中に浮くシーンや格闘シーンなど失笑ものだった。
ターミネーターの影響をもろに受けた残念な再現によるアンドロイドの登場。
なぜ登場させたかわからない。
キャラ付けもいまいち。
なによりも過去にさかのぼって今生きる現在が変わるという設定自体が狂ってるしおかしい。
その人物が過去に降り立った時点で、その世界線は幾重にも分岐するはずである。
このあたりが気になってアイディアはいいのだが、とても見れたものではなかった。
この過去を変えれば未来が変わる理論ならなぜまた過去に戻って、キングギドラの赤ちゃんを回収しに行かなかったのだろう。
まあ
しかしこれをやってしまえば物語として成り立たない。
なにかタイムマシンが壊れ、未来人が元の世界に帰れない葛藤を描いたらよりよかったかもしれない。
だが、そのメッセージ性は評価できる。
特に23世紀の人が言っていた「20世紀は核にばかり頼る残念な時代だ。」と
ずっしりと重い。
ゴジラもキングギドラも人間の手のひらの上でできたものだ。
都市の破壊やその被害も人間が進歩したが故に被害が増大している。
だからといって懐古主義に浸れというわけではない。
文明の運用を間違えるとゴジラに似たようななにかを生み出してしまうという警鐘である。
ゴジラ映画がこの辺りのメッセージを失ったらもうおしまいだろう。
ただ、その通底する音楽は素晴らしい。
よくあるクソゲーに共通する音楽だけの映画であった。
ゴジラの最大のライバルであると共に、映画を娯楽性豊かに盛り上げてくれるキングギドラ
シリーズ18作目。
本作からゴジラの対戦相手は、過去の人気怪獣が務める事になった。
まず登場は、キングギドラ。
過去4度ゴジラと激闘を繰り広げた、ゴジラ最大のライバルだ。
宇宙怪獣としてのイメージがあるキングギドラだが、本作では未来人の時間操作によって誕生した新キングギドラ。
だからなのか、少々ゴジラに劣勢気味だが、その巨大さは初代以上。
最後はサイボーグ改造され、メカキングギドラとなって登場、インパクトを残す。
ストーリーは、現代日本に未来人が現れ、彼らの提案で過去に戻り、ゴジラを歴史から抹消しようとする。
実はそれは未来人の策略で、ゴジラを消してキングギドラを出現させ、現代日本を破壊しようとする。
何だか凄い話である。
細かく言うと辻褄が合わない点もあるのだが(ゴジラを消したのに、何故皆ゴジラを覚えているんだ?)、内容的には盛り沢山で楽しめる。
近未来SFに戦争映画に『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をミックス。『ジュラシック・パーク』も先取り)
そして、ゴジラ誕生秘話も描かれる。
最も、ゴジラ誕生秘話は謎のままの方が良かったという意見も確かだが、これはこれで一つの仮説。
中川安奈演じるエミーはシリーズ初のアクション・ヒロイン。ラスト、自らメカキングギドラに乗り込み、ゴジラと戦う。
ゴジラと因縁を持つ新堂会長に扮する土屋嘉男の存在は感慨深い。
また、音楽を伊福部昭が16年振りに担当。
ダイナミックな音楽で映画を最高に盛り上げてくれる。
エンディングの“ゴジラは死なず”と付けられたゴジラのテーマ曲は、同曲の中でも屈指の神曲!
昭和シリーズで一番娯楽性豊かなのは『三大怪獣 地球最大の決戦』。
平成VSシリーズでは間違いなく本作。
奇しくも、どちらもキングギドラ。
やはりキングギドラは、ゴジラの最大のライバルに相応しい。
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